5. 年金世帯の住民税の減税は10月から開始
6月から年金受給者にも定額減税が始まりましたが、給与所得者とは異なり、住民税の減税は10月から開始されます。
年金受給者にとっては1回あたりの減税額はそれほど大きくないかもしれません。限度額の3万円に達するまで、8月以降も少しずつ減税が続くことになります。
10月からは住民税の減税も始まりますが、限度額の1万円を全て減税しきれない場合は、次回以降の年金から順次減額されます。
減税しきれないと見込まれる世帯には自治体から「調整給付金」が支給されるため、申請方法や支給時期などを自治体のウェブサイトなどで確認しておくとよいでしょう。
なお、岸田総理は2024年6月21日の会見で、低所得世帯や年金世帯を対象に「追加の給付金」を検討すると明言しました。これは定額減税や調整給付金とは別の施策となりますので、今後の続報を待ちましょう。
6. まとめにかえて
ここまで、実際に受け取っている方の年金額やどのくらいの世帯が年金だけで生活しているのかを確認してきました。
年金だけで生活している世帯は41.7%と全体の半分に満たないことからも、生活に十分な収入を年金だけで確保するのは難しいことがわかりました。
年金だけで足りない分は、現役時代に蓄えた貯蓄や定年以降に得る労働収入に頼ることになります。ただし、老後は健康状態によっていつまで働けるかはわからないので、十分な金額を蓄えておくほうがよいでしょう。
しかし、貯蓄を増やしたくても、物価高などの要因で難しい時代でもあります。月々の貯蓄額を増やせない場合には、投資などお金に働いてもらう仕組みが解決策になるかもしれません。
特に、4月から改定された新NISAは注目を集めているほか、iDeCoや保険など選択肢は豊富です。それぞれの仕組みによってリスクや期待出来るリターンも異なります。
どのような仕組みがよいのかは状況によって異なるため、まずは自分にとってどのような仕組みが合うのか情報を集めることが重要です。
この機会に、将来のお金についてじっくり考える時間を取ってみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」2024年7月5日
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 国税庁「公的年金から源泉徴収される所得税等の定額減税」
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」
- 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金の令和5年度収支決算の概要」
徳原 龍裕