7月26日に厚生労働省が令和5年簡易生命表を発表しました。
発表によると男性は81.09年、女性は87.14年となりそれぞれ前年を上回ったようです。
ここからもわかりますが、日本人には「人生100年時代」といえる長い老後生活が待っています。
長い老後を過ごすためには金銭的な余裕が必要ですが、老後の収入事情は安心できるのか不安に感じる方も多いでしょう。
政府が検討している物価高の影響を受けた支援策も年金世帯が対象となっており、年金世帯の苦しい懐事情がうかがえます。
とはいえ、全ての年金世帯が金銭的に困窮しているわけではありません。どのような世帯が金銭的に苦しいのかを確認するためには、実際にいくらくらいの年金を受け取っているか確認しておく必要があります。
そこで今回は、厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から60歳代・70歳代・80歳代が受け取っている年金額がいくらなのかを確認していきます。
日本の年金は国民年金と厚生年金の2種類に分かれるため、それぞれの特徴なども一緒に見ていきましょう。
1. 国民年金・厚生年金の仕組みとは?基本をおさらい
日本の公的年金制度は「国民皆年金」と呼ばれていて、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の全員が「国民年金」に加入する義務があります。
厚生年金は、主に会社員や公務員などが国民年金に上乗せする形で加入する年金です。
このような仕組みにより、これらの年金は「2階建て構造」と呼ばれたりもします。
国民年金と厚生年金のそれぞれの特徴を確認していきましょう。
1.1 国民年金(1階部分:基礎年金)
1階部分は、家の土台である「国民年金」。基本的に20歳から60歳までの人全員が加入します。
- 保険料は一律:例えば、2024年度は月額1万6980円。毎年変わりますが、これは共通の金額です。
- 将来の年金額:保険料をどれだけ払ったかで決まります。2024年度の満額は月額6万8000円です。
なお、国民年金の被保険者は第1号~第3号の3つに分類されます。
- 第1号被保険者:自営業者や学生など。自分で保険料を支払います。
- 第2号被保険者:会社員や公務員などで、厚生年金にも加入している人たち。彼らの保険料は厚生年金制度がカバーしてくれるので、個別で支払う必要はありません。
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者。個別で支払う必要はありません。
1.2 厚生年金(2階部分)
「厚生年金」は、会社員や公務員がこちらにも加入します。
- 報酬に応じた保険料:毎月の給料やボーナスに基づいて保険料を支払います。上限があります。
- 受給額は掛けた年数と金額で決定:国民年金に上乗せして、支給額が決まります。
では、老後に受給する年金額はいくらなのでしょうか。
厚生労働省から公表された「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、国民年金と厚生年金(国民年金を含む)の平均月額をチェックしましょう。