3. 夫婦の年金「約46万円・約67万円」になるケースを比較
ここまでの内容を踏まえ、8月15日に支給された夫婦の年金が「約46万円・約67万円」になるケースを比較してみましょう。
3.1 8月15日に支給された夫婦の年金が「約46万円」になるケース
- 夫:会社員として40年勤め、生涯の報酬が平均で月額「43万9000円」。国民年金保険料は満額支払い済
- 妻:専業主婦または扶養内パートとして勤め、生涯において厚生年金への加入はなし。国民年金保険料は満額支払い済
3.2 8月15日に支給された夫婦の年金が「約67万円」になるケース
- 夫:会社員として40年勤め、生涯の報酬が平均で月額「54万9000円」。国民年金保険料は満額支払い済
- 妻:会社員として40年勤め、生涯の報酬が平均で月額「37万4000円」。国民年金保険料は満額支払い済
厚生労働省は上記の年金の試算も公表しており、理論上は「約67万円」になるケースもあるでしょう。
しかし、これらの収入を40年にわたり維持することを考えると、一握りの世帯に限定されることがわかります。
年金はたくさんもらえるに越したことはありませんが、十分な金額を受け取るのはなかなか難しそうです。
なお、モデル夫婦の場合は約46万円が支給されたことになりますが、これはあくまでも”額面”であるため、十分とはいえないかもしれません。
4. 年金から天引きされるお金がある
8月15日に「約46万円」が支給されるといっても、これはあくまでも夫婦2人分かつ2ヶ月分です。さらに手取りはもっと減るとわかると、落胆してしまうかたもいるでしょう。
年金からは、原則として所得税・個人住民税・介護保険料・健康保険料が天引きされるのです。
4.1 年金から天引きされる所得税および復興特別所得税
公的年金は雑所得となり、65歳未満は108万円、65歳以上であれば158万円を超えると所得税の課税対象となります。
同時に、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、所得税の源泉徴収の際に併せて復興特別所得税も課税されます。
これらは原則として公的年金から天引き(源泉徴収)されます。
※障害年金や遺族年金は非課税です
4.2 年金から天引きされる個人住民税
前年中の所得が一定額以上の場合、個人住民税が課税されます。
こちらも要件を満たすと、年金からの天引き(特別徴収)で納付します。
※障害年金や遺族年金は非課税です
4.3 年金から天引きされる介護保険料
介護保険料は、40歳から64歳までの間は健康保険料と一緒に納付します。しかし、65歳以降は介護保険料だけを別に納付するしくみに切り替わります。
年金が18万円以上(年額)の場合、介護保険料は年金からの天引き(特別徴収)になります。
もし天引き対象とならなくても、納付書等で支払いの義務は残ります。
4.4 年金から天引きされる健康保険料
国民健康保険や、原則として75歳以上の人が加入対象となる後期高齢者医療制度の保険料も、年金からの天引き(特別徴収)で納めます。
※「介護保険料が年金からの特別徴収になっている」他、一定条件を満たしていない場合は、普通徴収での納付となるケースもあります。
これらが天引きされることにより、年金の手取りは額面よりも下がります。事前に送付される「年金振込通知書」等で確認しておきましょう。