8月5日、「高齢社会対策大綱」の改定に向けて、政府の有識者会議が行われました。
高齢者の就労意欲が高まっていることを考慮し、65歳以上の人が一定の収入を得ると年金が減額される仕組みの見直しなどを検討すべきだとしています。
再雇用などで定年退職した後に職場復帰する高齢者の方も増えてきていますが、年金だけでは不安、という高齢者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、実際に年金を受け取っている65歳以上の無職世帯の貯蓄事情とシニア世代の家計収支をチェックしていきます。
1. 65歳以上「無職夫婦世帯」の平均貯蓄額はいくらか
総務省の資料によると、65歳以上で無職の夫婦世帯の平均貯蓄額は2504万円でした。
平均貯蓄額の推移は以下の通りです。
1.1 2018年から2023年までの平均貯蓄額の推移
- 2018年:2233万円
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
2018年から2020年までは2200万円台でしたが2021年からは2300万円に上昇。
さらに2023年には2500万円台にのぼりました。
急速な少子高齢化によって年金財政が不安定化していることもふまえると、貯蓄を増やした方が安全と考えるのはもっともです。
では、銀行預金以外の貯蓄はどうでしょうか。保有資産の内訳を見ていきましょう。
1.2 保有資産の内訳
合計:2504万円
- 有価証券:480万円
- 生命保険など:413万円
- 定期性預貯金:846万円
- 通貨性預貯金:754万円
- 金融機関外:11万円
保有資産の合計は2504万円。
有価証券が480万円となっており、前年比+80万円と大きく増加しています。
定期性預貯金は846万円(前年比▲19万円)で減少しました。
つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)など税法上の優遇がある制度も知られるようになったため、貯蓄→投資への動きは今後も加速していくと考えられます。
ここまで無職世帯の貯蓄額をご紹介しましたが、次章では65歳以上の「勤労世帯も含む」世帯の貯蓄額についても考えてみたいと思います。