高齢化社会が進む日本は、年金を始めとした社会保障給付費が増加傾向にあります。

上記に加え、少子化が深刻化していることもあり、給付の財源となる社会保険料の負担額が年々増加しています。

本記事では、現役世代の社会保険料の負担額について詳しく紹介していきます。

「社会保障給付費」についても紹介しているので、ご自身が負担している社会保険料を考えるきっかけにしてください。

1. 「社会保険料」と「社会保障給付費」とは?

まずは、「社会保険料」と「社会保障給付費」の概要から確認していきましょう。

社会保険料とは、社会保険制度を維持するために納付するお金を指し、保険料を納付していれば主に下記のような保障を受けられます。

  • 健康保険:医療費の保障
  • 介護保険:介護サービスの利用に対する保障
  • 年金保険:老後の生活保障
  • 雇用保険:失業時の生活安定と再就職の支援
  • 労災保険:業務上の事故や疾病に対する保障

たとえば、年金保険に加入している場合は、老後の生活保障として「公的年金」が国から支給されます。

一方で、社会保障給付費とは、年金や医療、介護などにかかった費用を支援するために国が支出するお金を指します。

この社会保障給付費の主な財源は、私たちの給与から天引きされている「社会保険料」となっています。

このように日本では、誰もが最低限の生活を送れるような社会保障制度が構築されているのです。

しかし、少子高齢化が進む現代では「社会保険料」と「社会保障給付費」のバランスが崩れつつあります。

次章にて、社会保障給付費の推移について確認していきましょう。

2. 社会保障給付費として最も多いのは「年金」

厚生労働省の「社会保障給付費の推移」によると、社会保障給付費として最も多い割合を占めているのは「年金」となりました。

【写真4枚】1枚目/社会保障給付費の推移、2枚目/二人以上勤労者世帯の家計収支1/4

社会保障給付費の推移

出所:厚生労働省「社会保障給付費の推移」

2024年の予算ベースのデータをみると、社会保障給付費である約137兆円のうち、約61兆円が年金として使われており、全体の44.8%を占める結果に。

上記は、31.0%の医療や24.2%の福祉その他よりも明らかに高い比率です。

また、年金支出の推移をみると、1980年から2024年にかけて、年金の給付額は約10兆円から約61兆円へと6倍に増加しています。

上記から、現役世代が納付している社会保険料の多くが年金給付に充てられており、その負担額は年々増加傾向にある現状がみてとれます。

では、現在の現役世代はどのくらいの社会保険料を負担しているのでしょうか。

次章にて、年代別における社会保険料の負担額を見ていきましょう。

3. 現役世代の夫婦世帯の社会保険料の平均は「月に6万6896円」

総務省の「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、現役世代二人以上の世帯(夫婦世帯)の一ヶ月の実収入が60万8182円に対して、非消費支出は11万3514円となっています。

非消費支出のうち直接税負担は「4万6545円」で、社会保険料負担は「6万6896円」となっており、収入の約10.9%を社会保険料が占めていることになります。

また、総務省の同調査における年代別の社会保険料では、現役世代の負担額が多くなっていることがわかります。

年代別:現役世代の社会保険料3/4

年代別:現役世代の社会保険料

出所:総務省「家計調査報告 家計収支編」を参考に筆者作成

  • ~34歳:5万3820円
  • 35~39際:5万9643円
  • 40~44歳:7万2982円
  • 45~49歳:7万8034円
  • 50~54歳:7万9045円
  • 55~59歳:8万4068円
  • 60~64歳:5万5397円
  • 65~69歳:4万7167円
  • 70際~:2万6641円

上図のとおり、年代が上がるにつれて社会保険料の負担額は上昇していきます。60歳代以降は負担額が減少傾向となります。

社会保険料は給与や年金といった報酬を一定の範囲ごとに区分した「標準月額報酬」をもとに算出され、基本的に収入が高いほど負担額も大きくなります。

年金は給与と比較すると支給額が少なくなっていることから、現役世代のほうがシニア世代よりも社会保険料の負担額が高くなっているのでしょう。

次章にて、現役世代の社会保険料の負担率について、さらに詳しく深掘りしていきましょう。

3.1 2024年の国民の社会保障負担率は18.4%

財務省の「国民負担率(対国民所得比)の推移」によると、2024年の国民の社会保障負担率は18.4%となりました。

1970年の社会保障負担率は5.4%なのに対して、2024年は3倍以上となる18.4%となっており、現役世代の社会保険料負担が大きくなっていることがわかります。

これまでの負担率の上昇傾向や少子高齢化が進んでいることから、今後も現役世代の社会保障負担率はますます高くなるでしょう。

4. 65歳からの「介護保険料・国民健康保険料」が値上げの方向に

本記事では、現役世代の社会保険料の負担額について詳しく紹介していきました。

少子高齢化に伴い、現役世代の社会保険料の負担は年々増加傾向となっています。

一方、社会保険料の負担増加は、現役世代だけでなくシニア世代にも深刻な影響を与えています。

実際に75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療保険」の負担額は増額傾向にあり、2024年度も値上げとなりました。

こうした背景から、政府は様々な財源確保を打ち出していますが、物価高の影響もあり、国民の家計負担は依然として重くのしかかっています。

上記をふまえ、今後の財源確保策の議論においては、国民の理解と納得を得られるような丁寧な説明と、公平性への配慮が必要不可欠となるでしょう。

参考資料

和田 直子