少子化が進み、子ども一人にかける教育費が出しやすくなっていると指摘されることがあります。
とはいえ、物価高と給料のベースアップが一致していない現状では多くの親が子どもの教育に関して「どれにお金をかけられるか」と考えつつ習い事を決め、通塾のタイミングを判断しています。
その一方で、お金があれば子どもの成績アップにつながるのかというと、やはりお金で全てを解決できるほど甘いものではありません。
今回は、子ども一人にかける教育費の変化や課金をしても無駄な子の特徴をご紹介していきます。
1. 少子化で一人当たりの教育費も増加している
厚生労働省が今年6月に発表した「2023年人口動態統計」によると、1人の女性が一生で産む子どもの数の指標となる合計特殊出生率が1.20となり、過去最低になったことが分かりました。
少子化問題は労働人口や社会保障制度の維持など影響は多岐にわたります。
こうした中、少子化のため一人の子どもにかける教育費が増加しているのではないかという指摘があります。
社会人の所得はバブル経済が崩壊した後も経済状況が好転せず上昇していない状況が続いている中で「我が子にはより良い人生を」と考えて塾や習い事にお金を出す家庭が少なくないと言われています。それでは、本当に額が増えているのでしょうか。
少し古い資料ではありますが、参議院の調査室作成資料「経済のプリズム」(第170号(平成30年7月))に掲載されている「―家計の消費構造の変化―子どもの減少と相反する一人あたり教育費の増加」では、少子化に伴い教育費全体の額は縮小しているものの、それ以上に少子化のペースが早く、結果として一人あたりの教育費は右肩上がりとなっていると論じています。
また、総務省の「家計調査」(二人以上の世帯のうち勤労者世帯(農林漁家世帯を除く))の1985年と2017年の1カ月の教育費を比較すると以下の通りになりました。
- 1985年 1万2157円
- 2017年 1万9161円
ちなみに、1985年の15歳未満の子どもの人口は2604万人、2017年は1517万人です。32年の間で子どもの人口は1000万人以上減少しているにもかかわらず、1カ月あたりの教育費が約7000円増えています。
なお、同調査2023年の最新版では、15歳未満の子どもの人口が1435万人(2023年4月1日時点)に対し、1カ月の教育費は「1万6838円」(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)となっています。
この32年の間でバブル崩壊、就職氷河期、少子化の加速が進みました。
裏を返せば「子どもにより良い教育を」と考えている親が増えていることになります。