3. なぜ?「低年金・無年金」になる2つのケース
低年金・無年金になる原因はさまざま。ここでは主な2つのケースをご紹介します。
3.1 受給資格期間が10年未満
年金を受給するには「受給資格期間」を満たす必要があります。
受給資格期間は、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上です。
保険料の未納期間が長い人は要注意。ねんきん定期便やねんきんネットで、ご自身の保険料納付済期間と保険料免除期間を確認してみると良いでしょう。
繰り返しになりますが受給資格期間は10年以上です。保険料を9年11カ月納めていても、受給資格期間10年に到達していなければ年金を受け取れません。
なお、受給資格期間には保険料免除期間が含まれます。失業や休職など、経済的な事情により納付が難しい場合には、免除申請をしておきましょう。免除申請が承認されれば免除期間も受給資格期間にカウントされます。
3.2 年金の不整合記録問題
年金の不整合記録問題が起こっている場合には、低年金・無年金になる可能性があります。
年金の不整合記録問題とはなにか、確認していきましょう。
まず、国民年金の被保険者は以下のとおり「第1号被保険者〜第3号被保険者」に分類されます。
- 第1号被保険者:20歳以上60歳未満の農業者・自営業者・学生・無職の人など
- 第2号被保険者:会社員・公務員など
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されていて、年収130万円未満の20歳以上60歳未満の配偶者
上記、被保険者の種類が変わる際には届出が必要です。この手続きが漏れてしまうと、保険料は未納となります。
事例
「第3号被保険者」に該当する配偶者が扶養から外れて働くようになった時に「第1号被保険者」になる届出が漏れたため、保険料の未納期間が生じた
事例
「第2号被保険者」の退職に伴い、扶養されている配偶者が「第1号被保険者」となるにも関わらず、届出が漏れたため、保険料の未納期間が生じた
届出が漏れていると気づいたら、早急に年金事務所にご相談ください。
4. まとめにかえて
本記事では、「低年金」や「無年金」になる理由について詳しく解説してきました。
65歳以上シニア世帯の約4割が住民税非課税世帯です。多くのシニアが厳しい老後生活を過ごしているようすがうかがえます。
現役世代の人たちが老齢年金を受け取る頃には、さらに年金給付水準が低下すると予想されます。
老後に向けて生活を支えるための資金を準備しておきましょう。
参考資料
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日
- 厚生労働省「令和5年 国民生活基礎調査」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金を受けとるために必要な期間が10年になりました」
- 日本年金機構「3号不整合記録問題とは何ですか。」
和田 直子