2024年7月30日、厚生労働省において「第17回社会保障審議会年金部会」が行われました。

かねてから注目の集まっていた「遺族年金」に関する男女差が是正され、一律で受給期間が5年になる見込みです。

現行の制度では、夫と妻で受給できる要件が異なっており、「不公平だ」という声もあがっていました。

具体的にどのような点で男女の違いがみられるのでしょうか。

制度の概要と今後の動向について見てきましょう。

1. 遺族年金の制度を解説「遺族基礎年金・遺族厚生年金」

遺族年金とは、世帯において生計を維持する人が亡くなったとき、遺族に対して支給される公的年金です。

生前に加入していた年金によって、遺族基礎年金と遺族厚生年金にわかれます。

遺族年金を受け取ることができる遺族と年金の種類

遺族年金を受け取ることができる遺族と年金の種類

出所:日本年金機構「遺族年金ガイド令和6年度版」
 

要件を満たす「子のある配偶者」や「子」は遺族基礎年金や遺族厚生年金が支給され、「子のない配偶者」「父母」「孫」「祖父母」は要件を満たす場合に遺族厚生年金が支給されます。

1.1 遺族基礎年金の支給要件

遺族基礎年金が支給される要件は以下のとおりです。

① 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
② 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
③ 老齢基礎年金の受給権者であった方(保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限る) が死亡したとき
④ 保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方が死亡したとき

1.2 遺族厚生年金の支給要件

遺族厚生年金が支給される要件は以下のとおりです。

① 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
② 厚生年金保険の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡したとき
③ 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受け取っている方が、死亡したとき
④ 老齢厚生年金の受給権者であった方(保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限る) が死亡したとき
⑤ 保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が 25年以上ある方が死亡したとき

※いずれも日本年金機構「遺族年金ガイド令和6年度版」より引用