3. 70歳代の貯蓄額|中央値は平均500~700万円

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額は1757万円、中央値は700万円です。

中央値とは、データの値を小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中に来る値のことです。

平均値は、データの中に極端に大きな、または小さな値があった場合に、計算結果に影響を受けやすいですが、中央値は大きな影響を受けないため、実際の平均に近い値を知るうえで適しているとされています。

そのため、700万円が実際の平均額に近いといえるでしょう。

二人以上世帯では、3000万円以上の資産のある世帯が19.7%と最も多くなっていますが、「金融資産なし」の世帯が19.2%と2番目に多くなっています。十分な貯蓄のある世帯とない世帯が、極端に分かれていることがわかります。

一方、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によると、単身世帯の平均貯蓄額は1529万円、中央値は500万円です。中央値の500万円が、実際に近い平均額とみて良いでしょう。

単身世帯では、金融資産なしの世帯が26.7%と最も多く、次いで3000万円以上の世帯が17.3%となっています。単身世帯の約4世帯に1世帯が金融資産なしという状況です。

なお、この調査における金融資産には、預貯金のほか株式、投資信託、積立型保険商品、個人年金保険などが含まれます。

4. まとめにかえて

70歳代の二人以上世帯・単身世帯では、いずれも毎月3〜4万円の赤字となっており、公的年金だけでは生活費をまかなえていないことがわかります。

70歳を超えると働いて収入を得ることも難しくなるため、生活費が不足する分は貯蓄を取り崩す必要があるでしょう。

老後の生活費に困ったときに、切り崩せる貯蓄をできるだけ準備しておくことが望ましいです。現役時代のうちから、早めに老後資金の準備にとりかかることをおすすめします。

参考資料

木内 菜穂子