街中でも加熱式たばこをくわえる喫煙者も増えてきました。次世代たばこには加熱式たばことベイパーがありますが、今後は利用者はどちらを選んでいくのでしょうか。今回はラッキーストライクやケントなどで知られるたばこのブランドを抱えるブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の決算資料をもとに現状を読み解いていきましょう。

世界の次世代製品ではベイパーが優勢

加熱式たばこ(Tabacco heating products, THP)は日本では次世代たばことして認知を得つつありますが、実は世界で見るとTHPが優勢な国は世界で見ると日本と韓国だけというのが実情です。それ以外の先進国ではベイパー(Vapour)が優勢な国が多いのです。

以下の図表はBATの投資家向けプレゼンテーション資料の一部です。日本と韓国のみがTHPが優勢で、そのほかの米国、カナダ、英国、フランス、スペイン、オーストラリア、南アフリカ、ポーランド、メキシコ、ブラジル等はベイパーが優勢なのです。THPかベイパーのどちらが優勢か決まりかねている国が、ロシアやドイツ、トルコといった具合です。

日本は加熱式たばこ先進国

BATによれば、2020年にはベイパーは8000万人(米国のベイパー利用者含む)、THP(米国除く)は1900万人と予測されています。

また、日本はTHPの普及率(Penetration)は20%程度までという状況ですが、転換率(Conversion)は60%近くあり、いずれの比率もまだ小さい世界のTHPの動きと比べると特徴的な動きを示しています。

一方で、世界のベイパーの普及率は60%近くあり、転換率も20%近くあるという状況です。

2017年現在ではベイパーの利用者数は5500万人。米国に2200万人、英国に280万人、フランスに260万人というような状況でのその規模は拡大しています。

まとめにかえて

こうしてみると日本のたばこ市場は世界のベイパーが優勢の動きとは異なるようです。今後、日本でもベイパーがこれまで以上に利用されてくるのか、それとも現在のように加熱式たばこ、ここでいうTHPが優勢なのかには注目です。

出所:BAT「Next Generation Products」

青山 諭志