4. NISA・iDeCo・国民年金基金、老後の備えはどうすべき?
ここまで年金受給額の実態を見てきました。
厚生年金の受給者は月に10万円以上を受け取る方が多いですが、国民年金のみの受給者では5万円台が最多となっており、老後の生活を送るには厳しい状態だとわかりました。
国民年金のみの加入者で老後に備えたいという方や、厚生年金も加入しているけれどゆとりある老後を目指したいという方は、資産運用を検討してみてもいいでしょう。
ここではNISA・iDeCo・国民年金基金の3つの方法を簡単にご紹介します。
NISAは、2024年から新制度が始まったことにより注目を集めています。
株式や投資信託などに投資した際、運用によって得られた利益にかかる税金が非課税になる制度で、年間360万円、最大で1800万円までの投資額が対象となっています。
iDeCoは「自分で作る年金」と言われるように、自分で投資する金融商品を選んで運用していく制度です。
NISAと同じく運用益にかかる税金が非課税になるほか、掛金の全額が所得税の控除対象となるため、現役世代の税対策としても人気です。
ただしNISAとは異なり、利益が出たらかといってすぐに引き出せるわけではなく、年金と同様に60歳以上にならないと受け取れないことには注意が必要です。
最後に、フリーランスや自営業の方など、厚生年金に加入していない方は国民年金基金に加入することができます。
NISAやiDeCoとは違い、運用を任せることができるうえ、国民年金と同じで終身年金であることから、生きている間は決まった額を受け取り続けることができます。
NISAやiDeCoと併用することもできるため、ぜひ検討したいですね。
5. まとめにかえて
今回は年金の制度や受給額、そして老後の生活への備え方について紹介しました。
国民年金の受給額は加入期間によって異なるほか、厚生年金は収入によっても受給額が変わっていきます。
そのため、自分がいくら年金を受け取れるのか確認することが重要になります。
また、年金だけではゆとりある暮らしが難しそうだと思った方は、資産運用について検討するとよいでしょう。
NISAやiDeCo、国民年金基金など様々な制度がありますが、それぞれに特徴や注意するべき点があります。
資産運用を始める場合は、しっかりと知識をつけ、投資のリスクを考えたうえで運用方法を選択するようにしましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「2023年度の運用状況」
- 金融庁「NISAを知る」
- 国民年金基金「国民年金基金とiDeCoとの違い」
- GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「年金財政における積立金の役割」
中本 智恵