公的年金の財政状況を検証する「財政検証」が行われ、2024年7月3日に報告されました。
さまざまな観点から、将来的な年金額を検証しています。
では、厚生年金と国民年金は年齢別にいくら受給されているのでしょうか。
今回は、それぞれの年金額を年齢別に解説します。
記事の後半では、年金額を増やす方法も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 年齢別にみる厚生年金と国民年金の平均月額
厚生年金と国民年金の平均月額を、年齢別に確認します。
受給額にどのような傾向や特徴があるのか確認しましょう。
1.1 厚生年金の平均月額
厚生労働省が2023年12月に調査した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額は、14万3973円でした。
年齢別の平均月額をみると、以下のとおりです。
- 60歳:9万4853円
- 61歳:9万1675円
- 62歳:6万1942円
- 63歳:6万4514円
- 64歳:7万9536円
- 65歳:14万3504円
- 66歳:14万6891円
- 67歳:14万5757円
- 68歳:14万3898円
- 69歳:14万1881円
- 70歳:14万1350円
- 71歳:14万212円
- 72歳:14万2013円
- 73歳:14万5203円
- 74歳:14万4865円
- 75歳:14万4523円
- 76歳:14万4407円
- 77歳:14万6518円
- 78歳:14万7166円
- 79歳:14万8877円
- 80歳:15万1109円
- 81歳:15万3337円
- 82歳:15万5885円
- 83歳:15万7324円
- 84歳:15万8939円
- 85歳:15万9289円
- 86歳:15万9900円
- 87歳:16万732円
- 88歳:16万535円
- 89歳:15万9453円
60歳代前半は、平均月額を超える年代はありませんでした。
1.2 60歳代前半の厚生年金額が少ない理由
公的年金は、原則として65歳から支給されますが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて年金を受け取れます。
しかし、繰上げ受給すると、1ヵ月ごとに受給額は0.4%ずつ減額されます。
一方、75歳以上は平均額を超えていました。
公的年金は、受給開始年齢を65歳以降にずらす「繰下げ受給」が可能です。
繰下げ受給をすると、年金額は1ヵ月ごとに0.7%ずつ増額されます。
年金額が決まる「乗率」が年々減っていることもあり、年齢が高くなるほどに、厚生年金の受給額が多くなる傾向にあります。
では、次に国民年金の平均月額を確認しましょう。
1.3 国民年金の平均月額
国民年金の平均月額は、5万6316円でした。
- 60歳:4万2616円
- 61歳:4万420円
- 62歳:4万2513円
- 63歳:4万3711円
- 64歳:4万4352円
- 65歳:5万8070円
- 66歳:5万8012円
- 67歳:5万7924円
- 68歳:5万7722円
- 69歳:5万7515円
- 70歳:5万7320円
- 71歳:5万7294円
- 72歳:5万7092円
- 73歳:5万6945円
- 74歳:5万6852円
- 75歳:5万6659円
- 76歳:5万6453円
- 77歳:5万6017円
- 78歳:5万5981円
- 79歳:5万5652円
- 80歳:5万5413円
- 81歳:5万5283円
- 82歳:5万7003円
- 83歳:5万6779円
- 84歳:5万6605円
- 85歳:5万6609円
- 86歳:5万6179円
- 87歳:5万6030円
- 88歳:5万5763円
- 89歳:5万5312円
60歳代前半は、厚生年金と同じく受給額が平均月額を超える年代がありませんでした。
また、全年代で唯一60歳代前半は年金月額が5万円を下回っています。
60歳代前半と90歳以上の年代を除けば、どの年代も5万5000円から5万8000円の範囲で年金を受給していました。
厚生年金と異なり、国民年金に関しては、厚生年金と比べて年齢別の特徴や傾向に大きな差は見られません。
国民年金は、所得の多寡にかかわらず60歳までに支払う国民年金保険料の納付月数に応じて支給額が決まります。
そのため、国民年金の受給額に差が見られない結果となったといえるでしょう。
では、2024年に実施された財政検証の結果から、将来的に受け取る年金額の見通しを確認しましょう。
2. 財政検証で明らかになった年金の将来額
厚生労働省は、財政検証をとおして以下の年金受給額を公表しました。
- 賃金水準別の年金額
- 経済成長率に応じた年金額
財政検証では、将来の経済成長率ごとにみた年金額も公表されました。
将来の経済成長率は、以下の2パターンで試算しています。
- 成長型経済移行・継続ケース(実質賃金上昇率1.5%)
- 過去30年投影ケース(実質賃金上昇率0.5%)
成長型では、2024年度時点の年齢ごとの将来の年金額は、以下のとおりになりました。
- 65歳(モデルケース):男性14万9000円・女性9万3000円
- 50歳:男性15万6000円・女性10万9000円
- 40歳:男性18万円・女性13万2000円
- 30歳:男性21万6000円・女性16万4000円
次に、過去30年投影ケースをみると、将来の年金額は以下のとおりです。
- 65歳(モデルケース):男性14万9000円・女性9万3000円
- 50歳:男性14万1000円・女性9万8000円
- 40歳:男性14万1000円・女性9万9000円
- 30歳:男性14万7000円・女性10万7000円
過去30年投影した場合、年金額は今より少なくなる見通しとなりました。
経済成長を前提に試算したモデルケースのため、もし賃金上昇の伸び率が0.5%を下回れば、公表された結果より年金額が少なくなる可能性があります。
そのため、老後に受け取れる年金は少しでも増やしておく必要があります。
では、年金額を増やす方法について確認しましょう。
3. 年金額を増やす方法はある?
年金額を増やす方法はいくつかありますが、今回は以下の3つを解説します。
- 年金の繰下げ受給
- 付加年金の準備
- 60歳以降も厚生年金に加入する
それぞれの方法について確認しましょう。
3.1 年金の繰下げ受給
先ほど紹介した年金の繰下げ受給を活用すれば、将来の年金額を増やせます。
年金の繰下げ受給は、75歳まで可能です。
繰下げ受給した場合を年齢別にみると、以下のとおりになります。
最大で84%の増額率となります。
繰り下げ受給をすれば年金額を増やせますが、年金額を増やしすぎると課税される可能性もあるので、注意してください。
3.2 付加保険料を納める
付加保険料は、自営業者やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者を対象とした、年金の上乗せ制度です。
保険料は、毎月400円になります。
将来的な付加年金の受給額は、以下の計算式で算出します。
- 200円×保険料の納付月数
たとえば、付加年金を40年間支払った場合、将来受け取れる年金額は以下のとおりです。
- 200円×480ヵ月(40年)=9万6000円(年額)
付加年金は生存している間、毎年支払われ続けます。
保険料の総額が19万2000円なので、2年以上生存していれば、付加年金で受け取れる年金のほうが上回ります。
3.3 60歳以降も厚生年金に加入する
年金額を増やすためには、60歳以降も働いて厚生年金に加入するとよいです。
厚生年金保険料を納める期間が長くなれば、将来的に受け取れる厚生年金額も増えます。
定年後も働いて、厚生年金の受給額を増やす方法も検討してください。
4. ねんきん定期便で定期的に年金額をチェックしましょう
厚生年金と国民年金がいくら受け取れるのか、年齢別に確認しました。
いずれも受給年齢が65歳未満だと、受け取れる年金額は少なくなる見通しです。
今回の財政検証では、年金の受給額を今後の経済成長率でシミュレーションした結果も公表されています。
経済成長率が鈍化するケースに備えて、公的年金を増やす備えや対策が必要になるでしょう。
繰下げ受給や付加年金の活用だけでなく、自分で老後資産を運用しながら老後資産を準備してください。
参考資料
- 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 厚生労働省「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)」
- 厚生労働省「令和6年財政検証関連資料」
- 日本年金機構「付加保険料の納付」
- 日本年金機構「付加年金」
川辺 拓也