4. 貯蓄がない方でも老後資金は作ることができる?
収入や支出によって、毎月の貯蓄ができる方とそうではない方がいるでしょう。
貯蓄がない方が老後資金を作る方法として、「積立投資」も選択肢のひとつです。
積立投資とは毎月決まった金額・タイミングで商品を購入する投資方法の一つであり、初心者でも始めることができるメリットが存在します。
近年話題のNISAは非課税で少額投資を行うために作られた制度であり、株式や投資信託を購入した際、利益に対して発生する税金(現在20.315%)が非課税になります。
その他にも多くのメリットが存在し、投資する金額を毎月変更することができるようになっているため、金銭面に余裕がない方でも始めることができます。
NISA以外にも「iDeCo」や「変額保険」、「個人年金保険」など多くの積立投資が存在します。仕組みや特徴は商品・制度によって異なるため、しっかりと把握をした上で始めましょう。
なお、それぞれのリスクもしっかり知った上で、個人のリスク許容度の範囲内にとどめておくことも重要です。
5. まとめにかえて
物価の上昇が続いていく中で、思うように老後資金の資産形成が進まない世帯も多いでしょう。しかし、年金だけでは赤字になる世帯も多い中で、自助努力は必要になります。
政府は電気代の補助や年金生活者への追加給付を検討しているとはいえ、時限的な給付金だけを頼りにするのは難しいでしょう。
60歳代でリタイアする方もいれば、70歳以上で働き続ける方もいます。どんな老後を迎えたいかによって、あるいは年金がいくらなのかによって、必要な老後資金が異なります。
冒頭で65歳以上「無職の夫婦世帯」の貯蓄平均は2504万円であると紹介しましたが、これで十分かどうかは世帯によって異なるところでしょう。
年金額や生活費をしっかりシミュレーションしておきたいですね。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点」
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日
- 内閣府「令和6年版高齢社会白書」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
長井 祐人