2018年1月に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」上で副業禁止の規定を削除したことを機に、副業を解禁する企業が増えてきました。
給与が十分でないと感じている場合、副業を視野に入れている人も多いと思います。昨今メディアでも副業に関する特集をよく見かけますよね。
そのような中で、本業の勤務先には内緒にして副業をしている方も少なくありません。副業を始めるか悩んでいる方の中には「勤め先に副業している事実が知られないか」と心配している人も多いようです。よく「住民税の金額で副業がバレる」という話もよく耳にします。実際はどうなのでしょうか。
本記事では、副業していることがなぜ住民税でバレるのか、その仕組みを解説するとともに、副業がバレたときに起こり得るリスクについても確認していきます。
1. 副業していることが住民税でバレる理由
副業は一般的に、本業の勤務先とは別のところですることがほとんどのため、バレる可能性はほんとどないと考えがちです。しかし、収入を得るということは所得が発生することになり、税金にも深く関係してくるのです。
副業には主に、パートやアルバイトなどで給与を得ている場合と、事業所得を得ている場合とがあります。それぞれのケースにおいて、本業の勤務先にバレる仕組みを見ていきましょう。
1.1 パートやアルバイトで副業をしているケース
会社員など企業に勤めている方は、原則として住民税を直接給与から天引きすることで納めています(「特別徴収」といいます)。
住民税は、前年の所得を元に各自治体で算定されて、本業の企業(主たる給与を受けている勤務先)と本人に「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書」が送付されるのが一般的な流れです。
本業の企業は当通知を受け取り、特別徴収する手続きをとる仕組みとなっています。
本業の企業での所得は年末調整により確定しますが、副業で得た所得については確定申告をすることになります。その結果、1年間の所得が増え、それに伴って住民税の税額も高額になります。
本業の企業では自社からの給与に見合った金額以上の住民税を納めていることに気づくと、「副業収入があるのではないか」と推測し、副業がバレる可能性が出てくるのです。
1.2 事業所得を得ているケース
本業の仕事のほかに、記事執筆やデザイン、プログラミング、サイト運営といった事業所得を得ているケースでも、副業がバレる可能性があります。
原則として、副業による事業所得が1年間で20万円を超えると確定申告をしなければなりません。しかし逆をいえば、20万円以内であれば確定申告は不要ということになります。
とはいえ、これは所得税の話であり、住民税は1年間の所得が20万円以下でも申告をする必要があります。
事業の状況によっては赤字(損失)が出ることもありますが、給与所得と事業所得の損失を損益通算すると、所得金額を少なくすることができます。所得金額が減れば、その分支払う税額も抑えられます。
本業の勤務先で把握している所得金額から導き出される住民税額よりも、自治体から送付された「給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書」に記載された住民税額の方が少ない場合、事業所得などの損失を給与所得と相殺したのではないかと推測され、副業がバレる原因となるのです。