3. 今後の年金検討案

検討課題における主な項目は、以下の5つです。

  • 厚生年金加入者の拡大:被用者保険の適用対象を拡大した場合の財政状況を確認
  • 基礎年金の拠出期間の延長:基礎年金保険料の拠出額を延長した場合の財政状況を確認
  • マクロ経済スライドの調整:マクロ経済スライドを調整した場合の財政状況を確認
  • 在職老齢年金制度:在職老齢年金制度を見直した場合の財政状況を確認
  • 標準報酬月額の上限:厚生年金の標準報酬月額の上限を見直した場合の財政状況を確認

基礎年金の財源となる国民年金の支払い期間は、現行で20歳以上60歳未満です。

財政状況を検証した結果次第では、将来的な年金の支払い期間が延長される可能性があります。

また、在職老齢年金の見直しが行われるかも注目です。

在職老齢年金は、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受け取った場合、年金額を一部または全額支給停止する制度です。

厚生労働省の調査では、65歳以上の高齢者で在職老齢年金の適用を受けている人は、41万人でした。

65歳以上の高齢者で在職老齢年金の適用を受けている人

65歳以上の高齢者で在職老齢年金の適用を受けている人

出所:厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方」

全体の17%が在職老齢年金の受給者です。

在職老齢年金があることで、働いて収入を得ている人は年金額を減らされてしまっています。

財政検証によって、在職老齢年金が撤廃されるか、注目が集まります。

4. 年金受給額の目安を知って早めに対策を

年金受給額がいくらになるか、モデルケース別に解説しました。

単身世帯、夫婦世帯に限らず、収入によっては、毎月の年金額が支出額を下回るケースもあります。

将来的に受け取れる年金額がいくらになるか把握して、早めに老後の対策を始めてください。

参考資料

川辺 拓也