2018年5月25日に日本証券アナリスト協会が主催した、株式会社ヨシックス2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:株式会社ヨシックス 代表取締役社長(CEO) 吉岡昌成 氏
株式会社ヨシックス 代表取締役副社長(COO) 瀬川雅人 氏
企業理念・社是・基本理念
吉岡昌成氏(以下、吉岡):代表取締役社長の吉岡でございます。よろしくお願いします。
それでは、決算説明に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。現在、東京証券取引所市場第一部ならびに名古屋証券取引所市場第一部に上場いたしております。
企業理念は「赤ちゃんからおじいちゃん、おばあちゃんまで楽しくすごせる 心・食・居を演出する」です。
社是、「あたりまえやを当り前に」。や台やグループ(飲食部門)の基本理念なんですが、「元気を持って帰ってもらう店なんやで」ということでやっております。
事業内容
事業内容といたしまして、3月末時点におきまして「や台ずし」は現在180店舗で、のれん分店3店舗を含みます。
次に「ニパチ」は第二業態で、現在72店舗ございます。
「や台や」は10店舗。「これや」が現在20店舗。「せんと」は個室居酒屋であり、「や台どり」は焼鳥居酒屋で実験店として今やっております。
当社の歩み
当社の歩みです。
1980年、私がヨシオカ建装という建築会社を創業いたしました。その3年後に建築会社を設立して、85年ヨシックスの前身でありますテンガロンキッドを設立いたしまして、現在にいたっております。
損益計算書概要
決算概要です。
(17年3月期の)売上高の前期127億1,400万円に対し、(18年3月期は)156億8,300万円、123.3パーセントです。
営業利益は11億4,600万円が前期でしたが、(18年3月期は)16億4,600万円、(売上比)10.5パーセントで、(前期比)143.6パーセントでございます。
経常利益は前期13億8,900万円で(18年3月期は)19億5,800万円。12.5パーセントでございます。当期利益が前期8億7,000万円に対しまして、(18年3月期は)12億2,100万円という現状です。
前期は2回上方修正いたしました。(売上高の)期末予想は152億5,600万円に対して(実績が)156億8,300万円で、(予想比)102.8パーセントを達成いたしました。営業利益におきましては、(期末予想の)15億2,400万円に対しまして、(予想比)108パーセント。経常利益におきましては、(期末予想の)19億5,800万円で(予想比)107.3パーセント。当期純利益は(予想比)110パーセントでございます。1株当たりの純利益が、現在118円74銭です。
損益要因
(売上高の)前年対比123.3パーセントの要因は、新規出店を54店舗実施したことです。また既存店の売上が顕著に進みまして、売上がこのような状態になりました。
経常利益におきましても、前期比141パーセントです。この要因は、売上増加にともなう間接部門の経費の減少と、店舗増加にともない店舗当たりの固定費が減少したことです。また建築部門に一生懸命がんばっていただきまして、イニシャルコストを下げられたというのが、1つの要因かと思っております。
貸借対照表概要
貸借対照表の概要です。
総資産合計が24億100万円の増加をいたしました。新規出店54店舗実施したことにより、建物及び店舗設備の増加をいたしました。
キャッシュ・フロー概要
キャッシュ・フローですが、現在、現金及び現金同等物の期末残高17億2,400万円増加して47億5,00万円となりました。これは税引前純利益の増加による営業キャッシュ・フロー増(が要因です)。
投資キャッシュ・フローと財務キャッシュ・フローはスライド記載のとおりでございます。
自己資本比率とROE
自己資本比率とROEは、他社平均よりもいい状態で進んでおります。
店舗数
店舗数は27期から現在までお示ししておりますが、毎年順調に増加しております。
18.3期以降 新規出店予定店舗
物件契約が済んで、工事に入っているところを明記しております。
利益計画概要
平成31年度の3月期末の売上・利益計画です。
売上は前年対比118パーセント、経常利益前年対比114.4パーセントを見込んでおります。
売上高185億円、営業利益18億6,000万円、経常利益22億4,000万円、当期純利益13億8,000万円、1株当たりの純利益133円92銭という予算を組んでおります。
将来目標
今後の取り組みといたしまして、わたくし達は、3,000店舗、売上高1,800億円、日本一の居酒屋チェーンを目指します。これを長期目標に設定いたしました。
中期目標
今までは、「中期目標300店舗を19年3月期に達成いたします」「長期目標は500店舗を達成いたします」とみなさんにお示しいたしておりましたが、300店舗はもうこの7月(2018年)、悪くても8月の初旬には達成いたします。
次に500店舗の長期目標は、2022年度3月期に達成したいということでお示しいたします。
そこで、長期的にその先にどうするかということで、これ(わたくし達は、3,000店舗、売上高1,800億円、日本一の居酒屋チェーンを目指します)を将来目標、に設定しました。
今回、代表取締役社長を交代するのも、その組織変換の長期的なビジョンに沿った1つの方針でございます。
中期目標500店舗、300億円をどのように達成するかの戦略については、今までと変わりはございません。
「田舎戦略」、「老舗理論」、また「地域リスクヘッジ」経営を徹底的に進めていく、経常利益を10パーセントへ持っていくという方針は現在変えておりません。
田舎戦略(出店戦略・人事戦略)
今まで「田舎戦略」では(乗降客)10,000人以上の駅前かつ従業員の雇用が可能な地域を(年間を通して一定以上の安定的な居酒屋需要が見込める地域)としていましたが、現在は6,000人以上(の乗降数)で設定しております。九州では2,000人の乗降客のところでもオープンして、実験している店もございます。
この「田舎戦略」は、出店戦略であり人事戦略です。今本当に人件費が高騰してきて、採用も難しくなってきており、わたくしどもは困っております。いかにして人事戦略をするか、人をいかに採用していくかにかかっていると思います。
わたくしどもの出店戦略、人事戦略は、従業員を雇いやすいところに出店する、「田舎戦略」です。
次に、従業員が雇いやすい田舎に、どういう店をつくるかということなんですが、それを「老舗理論」といいます。30~40坪ぐらいの中小型店、昔からそこにある地域のみなさま方に親しまれる店を「老舗」と定義づけしております。
小さいお店を田舎に1つずつ作っていって、地域の発展・再生に貢献していこうと思っております。
老舗理論
地元密着型の個人店・小型店と、大きなチェーン店・大型店のいいところ取りをしようということです。要するに、親しみやすい、居心地のいいお店.大企業の持つ統制システム・明瞭会計・教育システム。そういうところをきっちりやることによって、老舗を作ることによって地域に賑わいを取り戻すのが、私どもの老舗理論です。
田舎戦略・老舗理論の効果
田舎戦略・老舗理論の効果です。
決算書を見ていただいたらわかると思いますが、(地代家賃を)当初7パーセント台に設定しておりました。スライドでも7パーセント台になっていますが、現在、6パーセント台で推移しています。
通常、10パーセントが飲食店の一般的な家賃比率と言いますが、それを7パーセントに抑えることによって、その3パーセントを原価にかけコストパフォーマンスをよくして、来店動機につなげていくのが、私どもの田舎戦略・老舗理論の効果だと思っております。
田舎戦略の潜在市場規模①(6千人以上の乗降客数のある駅)
田舎戦略の潜在市場です。
今までは(出店対象とするのは乗降客が)1万人以上(の駅がある地域)ということで、出店余地が3,000店舗でした。(近時、変更した基準である)6,000人以上の乗降客で計算してみたところ、4,344店舗できます。そのうち500店舗を4年以内に作っていきたいというのが、現在の中期計画です。
このように、まだまだ市場はあるということです。
出店目標
中期計画では、(500店舗達成の)日にちを明記しています。2022年3月期には500店舗を達成したいと思っています。長期目標として、将来は3,000店舗まで店舗を広げたいというのが、私どもの将来の目標です。
500店舗体制への構築①(8事業部体制へ)
私は、企業作りは組織作りと思って上場しました。上場後、組織の強固な体質作りをするかという1点に集中してきました。
中部地区から関東に出てきて、関西に出て3事業部になり、九州に出て4事業部。山陽、静岡も増えて8事業部になりました。この8事業部を4月(2018年)から確立いたしまして、去年までの西関東第二事業課を事業部に昇格しました。関西第二事業課も部に昇格いたしました。1つの事業部において年間7店舗、直営店を出店しています。2ヶ月に1店舗ほどのペースです。要するに、社員を教育して次の店舗に作るには、2ヶ月間かかります。2ヶ月に1店舗、各事業部が出していって、プラス1店舗です。
7店舗を各事業部が展開いたしますと、新規出店は56店舗できます。今年度の予定は、新規出店56店舗を予算化しております。
500店舗体制への構築②(8事業部体制へ)
私どもの500店舗構想における戦略地域です。
ピンク色の地点が、現在私どもがもう出店している地域。赤色が、これから出店するだろうという地域でございます。今まで、宮崎・和歌山には色が付いておりませんでした。
関西は堺まで来ています。堺から15分もあれば、和歌山に到達します。ドミナント式で広げ、今年は和歌山まで出店できると踏んでおります。また、鹿児島に来週、新たに1店舗「ニパチ騎射場店」を出店いたします。
鹿児島まで新幹線も通り、九州地域はものすごく便利になってきました。鹿児島に展開することによって、ドミナントで宮崎にも入っていけるだろうということで、今年は和歌山・宮崎にも出店が可能だろうと思っています。
また、関東におきましては、まだまだ市場があります。まだ関東の出店は少ないと思っています。ここの茨城・栃木・群馬・山梨は、まだ出店ができます。まだまだ市場は広がっていくと考えております。
建築事業部を有する強み
建築事業部が、もともと私が起こした企業です。
この最大の強みは何かと言いますと、ものすごく機動力を発揮できることです。社内に机が隣にありますので、すぐに図面が書け、業態転換を低コストでできます。柔軟な業態開発ができるということで、十二分に活用しています。
投資回収
投資回収です。
決算書を見ていただいたらわかりますように、(スライドには投資回収期間は)1、2年と記載していますが、現在はもっと早いです。現金がどんどん積み上がっているのが現状であります。
新業態①
新業態です。
「これや」という串カツ居酒屋をは、メニュー開発とか、ビールの価格設定などを研究開発しているのですが、この展開を今年も続けていきます。
今「や台ずし」が、ものすごく売上が良く、前年対比は既存店において102パーセント以上いっています。
もっともっと「や台ずし」ばっかりやっていったらいいんじゃないか、と思われるかもしれませんが、「や台ずし」やっている隣に物件が空く場合があります。そういう場合、いくら小さい店と言っても、隣に同じ業態をやって食い合いをすることはないだろうということで、「これや」という業態を去年・一昨年に開発して、「や台ずし」の近くに物件が空いたときに、これを出していこうということ新規出店しています。
新業態②
次に、「や台どり」です。
18年前にも実験をしていましたが、やきとりというのは、居酒屋の本筋です。上場するうえで業態を絞った方が社内も統制が取りやすいということで、「や台ずし」と「ニパチ」と、「や台や」を運営していましたが、18年前にやっていた「や台どり」を、1件復活しました。
藤井寺という大阪の下町地域があります。
「や台ずし」がある2件隣の物件がありまして、この場所で本筋のやきとり屋さんを、もう一度リニューアルしてやってみようということで実験しました。
第34期の取組
最後になりますが、34期のスローガンです。
「なぜ?から始まる仕組みづくり」というスローガンを出しました。
地区・チームリーダー制の確立、人材共育、店舗ガバナンス、新業態と新需要の対応、これにより利益計画・出店計画を達成したいと考えています。
私どもの店は30坪前後くらいの店が多いです。寿司屋さんはとくに、25坪くらいからあります。二十数坪の店で、社員・パート・アルバイトさんを1店で抱えるとしたら、ものすごく無理があります。社員採用にしても、地域的に苦労する地域もあります。そこで、3店舗を1つのチームとして組んで、そこの中で社員の休みを取ったり、パートさんの応援に行くといったかたちにして、4店舗になれば、2店舗ずつに分かれて、1つのチームを2店舗で作ります。そういう地域を作り、エリアを作って、ドミナント的に広げようということで事業部があります。そういうかたちを私どもは今作っています。これを地区・チームリーダー制と言っています。
また、共に育つと書いて「人材共育」。社員は宝物、一緒に社員とともに進んでいきたいという意識です。
「店舗ガバナンス」は私どもの独自の言葉です。店舗の現場で起きたことが、いち早く本社まで上がってくるるようなシステムづくりをしています。法律・社内ルールを守ることを意識したのが、店舗ガバナンスという表現です。
以上です。ありがとうございました。