5. 厚生年金に加入できない(被保険者になれない)人の属性
厚生年金保険は、国民年金と違い誰もが加入するものではありません。
その人の身分によって、加入できるかどうかが決まります。
厚生年金の被保険者の条件は、以下のとおりです。
- 常時従業員を使用する会社に勤務している70歳未満の従業員
- 1週間の所定労働時間および1月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上ある従業員
- 1週間の所定労働時間および1月の所定労働日数が一般社員の4分の3未満の場合は、従業員101人以上の企業等で勤務する、週の所定労働時間が20時間以上で賃金の月額が8万8000円以上かつ学生でない短時間労働者
※従業員は、正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイトなどの名称を問わず、事業所に雇用される人すべてを含む。
そのため、会社に属さない自営業の人や20歳以上の学生、専業主婦などは厚生年金に加入できません。
5.1 【2024年10月以降】社会保険拡大により厚生年金の加入者が増える?
2024年10月からは、厚生年金が適用される「特定適用事業所」の要件が拡大されます。
特定適用事業所とは、1年のうち6ヶ月間以上厚生年金の被保険者が101人以上存在する事業所のことです。
2024年10月からは、人数が51人以上であれば特定適用事業所とみなされます。
これにより、従業員51人以上の企業で働くパートやアルバイトの人に厚生年金が適用されます。
具体的には、以下の条件に当てはまれば厚生年金の加入対象です。
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 所定内賃金が8万8000円以上
- 2ヵ月を超える雇用の見込みがある
- 学生でない(休学中・夜間学生を除く)
厚生年金に加入できれば、将来受け取れる年金額が増えます。
一方で、保険料の負担が発生するため、手取り収入額が減ってしまう可能性があります。
パートやアルバイトの人は、勤務先とよく話し合いながら、働き方などを再確認しましょう。
6. まとめにかえて
厚生年金は、受け取る給与や働き方、勤務先の規模によって受給額が異なります。
その分個人差が生まれやすく、受給金額が多い人もいれば少ない人もいます。
厚生年金は老後生活において貴重な収入源です。
しかし、年金だけに頼る生活では、充実した老後生活を送れません。
現役のうちから年金以外の資産をつくっておき、将来に備えるのが重要です。
参考資料
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 日本年金機構「会社に勤めたときは、必ず厚生年金保険に加入するのですか。」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大ガイドブック」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
石上 ユウキ