4. 将来に向けた準備について
今回は65歳以上の無職世帯における貯蓄額や、その内訳について確認してきました。
資産の保有額は世帯によって大きな偏りがあり、4000万円以上保有している世帯もあれば、100万円未満の世帯もあるといった現状が明らかになりました。
また、家計収支に目を向けると、平均的に毎月4万円の赤字となっていました。これはあくまで「現状」の数字です。
物価高騰や年金受給額の変化によって、月の収支の不足額はこれまで以上に大きくなるかもしれません。そういった事態に備えるべく、しっかりと自助努力で資産を作り上げていく必要があります。
とはいっても、なかなか自分ひとりで老後の生活をイメージするのは難しいと思われます。そんな時はプロの力を借りてみるのも一案です。
自分自身の理想の老後生活を伝え、一緒にプランニングしてもらうことで、具体的に必要資金の金額がイメージできます。ゴールが決まったら、そこから逆算することで「今から何をすべきか」が見えてくるでしょう。
コツコツ貯蓄をすれば安泰なのか、いま注目を集めている新NISAをはじめとした資産運用を行うのか。全てはゴールを設定することから始まります。気になる方は、一度取り組んでみてはいかがでしょうか。
4.1 ご参考
老後対策を進めるうえで、ある程度の年金収入を想定しておく必要があります。
実際の年金受給額は現時点ではわかりませんが、見込額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」にてご確認いただけます。
また、厚生労働省の公的年金シミュレーターで、リタイアまでの働き方を想定して試算することも可能です。
年金見込額が把握できたら、税金や社会保険料が天引きされ手取りは90%前後になると考えておきましょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表」
- 総務省統計局「家計調査報告 貯蓄・負債編 2023年(令和5年)平均結果の概要 (二人以上の世帯)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
荻野 樹