2018年5月22日に行われた、株式会社クロスキャット2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社クロスキャット 代表取締役社長 井上貴功 氏
株式会社クロスキャット 執行役員 経営財務統括部長 松田耕治 氏
2018年3月期 決算の概要(連結)
松田耕治氏:経営財務統括部の松田でございます。本日はご多忙のところ、弊社2017年度の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日は、私が2017年度の決算をご説明いたしまして、引き続き社長の井上より前中期経営計画の達成状況と、今年度が初年度となります、新中期経営計画「Collabolation Hub 2020」についてご説明いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、2018年3月期決算の概要についてご説明申し上げます。まず、前期との比較ですが、売上高は97億1,300万円と、4.3パーセントの減収となりました。売上総利益は21億200万円と、6.8パーセントの増益となりました。
販売管理費も13億9,700万円と、前期から1,600万円削減したことにより、営業利益は7億400万円と前期比で27.1パーセントの増益。経常利益では7億3,900万円と、前期比で28.4パーセントの増益。当期純利益は4億7,300万円と、前期比では13.3パーセントの増益となりました。
続いて、昨年2017年5月10日に開示しました、予想との対比になります。
売上高は期初予想の106億円に対しまして、8.4パーセントのマイナス。売上総利益についても期初予想から3.6パーセントのマイナスとなりましたが、当期純利益は期初予想に対して、10.1パーセントプラスでの着地となっております。
営業利益の増減要因分析(対前年同期比)
当連結累計期間の営業利益の増減要因について、ご説明申し上げます。
クロスキャット単体としましては、①売上高減少に伴う減益のマイナス3,800万円があるものの、②不採算プロジェクトの減少等による増益が6,500万円。
③プロジェクト収支改善が7,100万円、④販管費を削減したことによる増益効果が1,900万円、⑤子会社であるクロスユーアイエスの業績が堅調に推移したことによりまして、3,200万円の増益効果がありました。営業利益全体では7億400万円と、前年同期比では1億5,000万円の増益となっております。
業種別売上高
次に、業種別売上高についてご説明申し上げます。
クレジットは、一部大型案件の影響によりまして25億4,800万円となりました。
金融は、保険向けは増加しましたが、銀行向けは開発完了による影響が大きく、19億6,700万円となっています。
官公庁公共企業は、官公庁の減少を公共企業の大型案件がカバーしたことにより、18億5,500万円と増加しました。
製造は、メーカー系大型案件の終了により、12億5,100万円となっております。
業種別売上高 構成比
続きまして、業種別売上構成比になります。
クレジット(26.2パーセント)および金融(20.3パーセント)で、売上高の46.5パーセントを占めております。
官公庁公共企業につきましては、前期比増収により19.1パーセントと、比率が高まりました。
製造は、一部大型案件の終了による影響があるものの、子会社のクロスユーアイエスは製造に強く(それにより)製造の比率は12.9パーセントと、当社グループでのシェアは4番手となっております。
これによりまして、クレジット・金融・官公庁公共企業・製造の上位4つの業種(スライドの赤い破線部分)で売上高の78.5パーセントと、約8割弱を占めている状態でございます。
事業別売上高
続きまして、事業別売上高でございます。
システム開発では、銀行・製造の影響が大きく、6.1パーセント減少して82億3,400万円となりました。
BIビジネスでは、前期に続き新規の大型案件受注が寄与したことにより、7億8,200万円と、0.9パーセント増加しております。
スタッフサービスは、首都圏での派遣事業と盛岡での地図(データ)入力が主体ですが、首都圏ではスキルマッチする人材確保が進まず1億9,600万円と、5.2パーセント減少しました。
契約先別売上高
次に、契約先別売上高をご説明申し上げます。
直接受注のユーザ系は、銀行向けの減少をクレジットほかで積み上げましたが、49億2,400万円となりました。
メーカ系につきましては、富士通グループ系の公共企業で増加しましたが、これも同じく富士通グループ系への製造およびIBM系のクレジットが減少したことで、29億200万円となっております。
Sler系は、地方自治体公共企業の減少をNTTデータ系の保険でカバーしたことで、前年並みの18億8,600万円となりました。
なお、売上構成の前期比較では、エンドユーザ系は50.7パーセントと比率が1.4ポイント増加して、当社(の売上)を牽引しております。
メーカ系は29.9パーセントと、2.1ポイントの減少。
SIer系は19.4パーセントと、0.7パーセントの増加となっております。
2019年3月期 業績予想(連結)
続きまして、2019年3月期の業績予想についてご説明申し上げます。
当社は、今年度から新中期経営計画「Collabolation Hub 2020」をスタートさせます。詳細については、後ほどご説明させていただきます。
コラボレーション戦略を推進することで、売上高は前期比6.6パーセント増の103億5,000万円。
売上総利益は、増収およびプロジェクト管理の徹底により、前期比5.4パーセント増加の22億1,500万円を予定しています。
販売管理費は、人材確保に向けた費用の増加・採用費・人件費等により、前期比6.3パーセント増加を予定しております。
その結果、営業利益は前期比3.6パーセント増加の7億3,000万円。
経常利益は、前期比2.7パーセント増加の7億6,000万円。
当期純利益は、前期比7.7パーセント増加の5億1,000万円を予定しています。
事業別売上高(通期予想)
続きまして、事業別の売上高になります。
システム開発の売上は、クレジット・銀行向けは前期を下回る見込みですが、官公庁自治体向けの大型案件および金融の保険向けで増加し、増収となることを予定しています。
BIビジネスにつきましては、商談が活発であり、先期からの増加に向けて推進いたします。
その他では、当社より子会社のオリジナルソリューションの拡販に向けて、営業に邁進しております。
売上高、経常利益率の推移
こちらは、売上高および経常利益率の通期予想と推移になります。
今期(2019年3月期)の商談も活発なことから、売上高は103億5,000万円を予想しています。
経常利益率につきましては、販売管理費の増加により、前期より0.3ポイント下回る予定になります。
経常利益額は7億6,000万円と、前期比では増益の予定です。
続きまして、社長の井上より、中期経営計画(Innovation Fast 2017)の達成状況と新中期経営計画(Collaboration Hub 2020)について、ご説明申し上げます。
前中期経営計画の推進方針
井上貴功氏:社長の井上でございます。私からは、昨年度が最終年度となりました前中期経営計画の達成状況につきまして、ご報告させていただきます。
前期中期経営計画では、こちらにございますように、成長エンジン・営業の変革・開発プロセスの変革・人材育成・経営基盤の強化。以上5つの視点を重視したバランス経営を継承し、個人及び組織の意識と行動を変えて、新たな「価値創造」の加速を推進方針として、実施してまいりました。次ページから、その達成状況につきまして、ご説明申し上げます。
中期経営計画達成状況①
こちらにございますように、前中期経営計画……キャッチフレーズは「Innovation Fast 2017」でございましたが、数値面での達成状況になります。
最終年度でございます2017年度の売上高は97億1,300万円と、目標の112億円には届きませんでした。また経常利益も、目標の8億円には至りませんでしたが、7億3,900万円と目標額の9割以上を達成しております。それによりまして、過去8期連続増益での着地となっております。
売上高も、こちらに(青い棒)グラフを表示しておりますが、若干の増減はございますものの、長期のトレンドということでは、右肩上がりの拡大を維持しております。
中期経営計画達成状況②
次に、5つの視点でのそれぞれの施策の達成状況につきまして、ご説明申し上げます。まず最初に、成長エンジンでございます。
こちらにつきましては、積極投資による新サービスの創出。それと、アライアンスやM&Aの積極推進を、重要な取り組み課題としてまいりました。
新サービスの創出につきましては、みなさまもよくお耳にすると思うんですけれども、世の中の働き方改革への動きを追い風とすべく、自社プロダクト……こちらにございます「CC-BizMate」の機能拡張を行っております。具体的には、勤務間のインターバル制度対応、それと長時間勤務に関する警告機能。以上の2機能を追加搭載しました新バージョンを、2017年10月より発売しております。
社会的な働き方改革への意識の高まりと合わせまして、こちらの製品につきましては、クラウドベースであること、それと他社の製品と比べた場合のコスト優位性により、多くのお客さまから引き合いを頂戴しております。
直近の大規模な商談ということで、1つご説明申し上げますと、今回グループ全体で1万名を超えます大手のSI会社さまからの受注を獲得しております。今後の私どもの成長戦略の1つの柱にすべく、さらに機能強化をそれぞれ行ってまいりたいと思います。
次に、アライアンスの積極推進でございます。こちらにつきましては、マイクロソフト社とのAI技術を活用したサービスの研究を進めるとともに、ブロックチェーンに強みを持ちますカウラ社と提携いたしまして、1月より3ヶ月の人材育成プログラムを実施することが、順調に展開しております。
また、M&Aにおきましては、中計初年度になります2015年の6月に、ユニチカさまのシステム子会社でございますUIS(現XUIS)社を買収し、子会社化いたしました。
同社は、本社が大阪にございます。私どもにとっては地域補完の関係もありまして、子会社化後のシナジー効果により、順調に業容を拡大しております。
中期経営計画達成状況③
続きまして、営業の変革になります。
こちらにつきましては、私どもの主要なお客さまに対する提案の強化および個別のアカウントプラン戦略によりまして、お客さまとの関係の深耕および発展に向けて、営業強化を図りました。
また、自社プロダクトのマーケティング強化の一環といたしましては、SEO対策強化、マーケティングオートメーションツールの導入・活用。それによりまして、お客さまの認知度の向上を推進いたしました。
それの効果では、まずホームページの製品紹介のページビューの大幅な増加とともに、商談量が大幅に増加して、数字の実績として達成しております。
こちらにつきましては、今後もお客さまへの提案活動に注力いたしまして、顧客志向の攻めの営業展開を推進してまいります。
中期経営計画達成状況④
続きまして、こちらが3番目になりますが、開発プロセスの変革と人材育成につきまして、ご報告申し上げます。
こちらが、システム開発能力の成熟のモデルでございます。
CMMI活動では、昨年(2017年)の3月に公共ビジネス事業部公共第1部で、最高レベルになりますレベル5を達成いたしました。なお、その他の部門・全社におきましては、レベル3を継続しております。
また、個人スキルの向上におきましては、マネジメント強化を目的にいたしまして、2014年からスタートいたしましたPMP資格の取得推進も、現在75名と、増加傾向にございます。
合わせまして、高度技術資格保有者も115名に伸びております。
今後も継続的に、組織・個人の両面からお客さま満足度を向上させるとともに、高生産性を目指しまして、最終的にはプロジェクトの利益率向上につなげてまいります。
中期経営計画達成状況⑤
最後に、経営基盤の強化でございます。当社のブランド価値向上を目指して、推進してまいりました。
2016年2月には東品川オフィスから、現在本社がございます品川シーズンテラス20Fへの、本社移転を行いました。
また、優秀な人材の確保を目的といたしまして、奨学金返済支援制度を開始しました。2017年4月新卒採用者から対象とし、その後の2018年4月の新卒採用者にも継続適用しております。こうした施策の効果もございまして、厳しい採用環境の中、2017年・2018年の2年続けまして、それぞれ33名の採用を行うことができました。
また、働き方改革の推進におきましては、昨年度より働き方改革推進室を新設いたしまして、さまざまな施策検討・実現を行っております。
2017年10月には、それらの当社の健康づくりの取り組みが評価されまして、健康保険連合会さまから健康優良企業の認定(銀の認定)を頂戴しております。
さらに、グループとしてブランド強化に向けまして、子会社のXUISとの連携によります入札案件への共同参画、両者のパッケージソリューションの連携によります新たなサービス展開のシナジー効果を、高めてまいりました。
今後も、経営基盤の強化といたしまして、さまざまなブランド価値の向上に向けて、各種施策に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
新中期経営計画
続きまして、本年2018年度からスタートしております新中期経営計画の内容につきまして、ご報告させていただきます。
新中期経営計画の名称は、こちらにございます「Collaboration Hub 2020」です。なお、サブタイトルといたしまして、「付加価値協創企業を目指して」と名付けております。
前述いたしました前中計では、自らの変革を目的といたしまして「Innovation Fast 2017」という名称をつけましたけれども、今回の中計におきましては、事業環境変化へのすばやい対応、柔軟な発想から生まれる新たな付加価値の創造を、さまざまなステークホルダーのみなさまとともに我々がHub(中心軸)となって推進することを目的といたしまして、こちらにございます「Collaboration Hub 2020」と命名いたしました。
コラボレーション戦略
こちらのスライドが、ただいま申し上げました新中計におきます、コラボレーション戦略のイメージ図となります。
現在、ITサービス事業におきましては、本当に急激なスピードでデジタル変革と呼ばれる大きな変化が始まっております。
そのスピードに遅れることなく自らも変化を続けるためには、まずお客さま・アライアンス先さま・異業種やベンチャー、本当にさまざまなステークホルダーのみなさまとの協創が、必要不可欠と考えております。
そのため、新中計ではコラボレーション戦略といたしまして、さまざまなステークホルダーのみなさまとの連携強化を推進してまいります。
具体的には、こちらにございますお客さま・異業種の企業さまと連携した新サービスの提供、アライアンス先との技術・販売連携、協力会社さまとは技術者の確保や事業連携をとりまして、大学研究所・地域社会のみなさまとは人材確保も含め産学連携の実現や、地域社会発展への貢献をしてまいります。
それぞれの具体的な内容につきましては、次のスライドにてご説明申し上げます。
主なコラボレーション
こちらが、主なコラボレーションです。主なステークホルダーのみなさまとのコラボレーションにつきましては、こちらのスライドにございますように、それぞれをプロフィットセンターとコストセンターとに大別しております。
プロフィットセンターということで、直接的な利益を生み出すお客さまに向けまして、コストセンターの位置付けにしておりますアライアンス先・異業種企業・大学/研究所等との人材・技術交流によるスキル連携等を行いまして、協力会社さまとの関係構築強化により、柔軟かつ機能的な推進体制を整備します。
社内各組織間では、先端IT技術教育や技術シフトに加え、部門横断のジョブローテーション等を実施することで、最適なサービス提供を行ってまいります。
さらに、お客さまからのさまざまなフィードバックを次なるコラボレーションに繋げまして、新たな価値創造のサイクルの実現を目指していきたいと思っております。
重点施策
その戦略を推進するにあたっての重点施策ということで、こちらのスライドがございます。
前中計からの施策を引き継ぎまして、5つの重点施策を実施してまいります。
成長エンジンにつきましては、今後のより一層の成長拡大を目指しまして、(アライアンス活用による)新サービスの創出とともに事業提携やシナジーを重視したM&Aを推進してまいります。
営業の変革につきましては、お客さまニーズ、商談情報などの情報収集強化を図りまして、お客さまとの強い信頼関係の構築を目指してまいります。
開発プロセスの変革につきましては、さまざまな業務プロセスにおきまして管理指標を明確化・可視化し、PDCAを回すことでプロセス強化を図り、生産性向上に繋げてまいります。
人材育成につきましては、積極的な先端技術の習得や高度専門資格保有者の増加を、継続推進してまいります。
最後に、経営基盤の強化につきましては、経営基盤の安定化といたしまして働き方改革推進による生産性向上を加速し、クロスキャットのブランド価値向上を目指してまいります。
以上、ただいま申し上げました5つの視点を重視したコラボレーション経営を柱に、新たな付加価値創造を推進してまいります。
事業成長シナリオ
それでは、ただいま申し上げました新中計の基本方針を、事業成長シナリオに沿ってご説明申し上げます。
安定事業領域といたしましては、当社の基盤事業でございますシステム開発、およびグループ会社のXUIS社との連携によりますシナジー効果につきましては、引き続き重要ビジネスとして位置付け、継続的な拡大を図ってまいります。
加えまして、先ほどから申し上げておりますように、世の中の働き方改革への動きを追い風といたしました、自社オリジナルのクラウド関連サービスにつきましても、今後の当社の成長戦略の1つの柱にすべく、さらなる拡販強化を実施してまいります。
なお、成長事業領域といたしましては、アライアンス先との協業推進によりまして、競争優位なビジネスモデルを創出してまいります。
具体的には、ブロックチェーン関連といたしましては、カウラ社との連携によります、先ほど申し上げた教育等を中心といたしまして、社内での活用やその他を含めまして、いくつか推進施策を進めてまいります。
AIサービスにおきましては、画像認識技術を用いましたプロジェクトへの参画を行っております。具体的には、衛星写真から地図画像を自動生成させる仕組みのシステムとなります。
以上のように、当社の事業成長シナリオといたしましては、こちらの図にございます真ん中のソリューションサービス(③)を事業のジョイントといたしまして、下の太い部分の安定拡大事業(①)と新サービスの創出(④)の両輪で、事業成長を加速させていきたいと考えております。
新中計(Collabolation Hub 2020)目標値推移
ただいま申し上げましたさまざまな施策によりまして、新中期経営計画でございます「Collaboration Hub 2020」の最終年度である2020年度の売上高は、2017年度より18.4パーセント増加いたします115億円を予想しております。
また、2020年度の経常利益は、同様に2017年度より20.3パーセント増加の8億9,000万円としております。それによりまして、2010年3月期より11期連続の増益となる計画としております。
各種目標の数字に向けまして、全社一丸となって中計の達成に向け、選択と集中により成長戦略を明確に、業容の拡大に邁進してまいります。
どうぞみなさま、引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
以上をもちまして、本日のご説明を終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。