3. 相続した家に住まない場合、どうすればいい?
亡くなった親の家を相続したものの住む予定がなかったり、管理の負担が大きすぎたりする場合、どうすればよいでしょうか。
3.1 売却する、貸す
相続した実家に住む人がいない場合、相続人全員の合意によって売却または賃貸に出す方法が考えられます。ただし、立地などの条件によっては買い手や借り手が見つからない可能性があります。
3.2 相続放棄
相続した実家の処分が難しい場合、相続放棄という選択肢があります。相続放棄とは相続人が相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所への申し立てにより、被相続人の権利や義務をすべて引き継がない手続きです。
相続放棄をすると相続人は不要な財産を取得しないだけでなく、その他の財産も引き継げなくなる点に注意が必要です。また、一度相続放棄をすると取り消しはできません。
3.3 相続土地国庫帰属制度
2023年4月から「相続土地国庫帰属制度」がスタートしました。この制度は相続や遺贈で取得した土地を、一定の要件を満たせば国に引き渡すことができるというものです。
申請には審査手数料(1筆の土地あたり1万4000円)と10年分の土地管理費相当額の負担金(1筆ごとに20万円が基本)が必要となります。手続きは、まず法務局に相談し、必要書類を準備・提出します。
審査の結果、引き取り可能と判断された場合、負担金を納付することで土地の所有権が国に移転します。相続放棄とは異なり、土地のみを手放すことができるのが特徴です。
4. 相続した実家に住む人がいない場合、早めに対策を考えましょう
空き家は年々増加傾向にあり、特に相続によって発生するケースが多くみられます。相続した実家に住む予定がない場合、売却や賃貸に出す、相続放棄する、相続土地国庫帰属制度を利用するなどの選択肢があります。
いずれにしても相続発生前から対策を検討して、空き家のトラブルを回避できるようにしましょう。
参考資料
- 総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計」
- 国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施 を図るために必要な指針(ガイドライン)」
- 政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」
- 東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」
- 政府広報「相続した土地を手放したいときの『相続土地国庫帰属制度』」
松田 聡子