先日、高齢者の定義を現在の65歳から5歳引上げて70歳にしようという提言が話題となり、ニュースで取り上げられていました。
このニュースを見て、「年金の受給開始年齢が70歳までのびるの?」や「社会保険料の納付期間が延長されるのでは?」といった声をあげる方も少なくないようです。
仮に、年金受給開始年齢が70歳までのびると、「受給開始年齢が延長される分、働く期間も延長しなきゃいけない?」や、「定年を迎えて70歳を迎えるまでの新たな働き口を見つけられなかったらどうしよう」などという老後の年金生活に対する不安を覚える方も多いよう。
老後の生活を支えるための十分な年金額を受け取れるのであれば、このような悩みも少しは軽減できます。
しかし、老後の生活を年金だけで支えるのは非常にシビアな話というのは周知の事実。
今回は、いまのシニアの年金事情を改めてみていきながら、老後資金づくりについて考えていきたいと思います。
1. 日本の公的年金制度は「2階建て」
日本の公的年金は、上記のように国民年金と厚生年金の2階建てになっています。
1.1 国民年金(1階部分)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律
- 納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる
1.2 厚生年金(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが加入する
- 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる
国民年金は20歳以上60歳未満すべての人が加入するため、20歳になった人には日本年金機構が国民年金に加入したことを知らせます。
厚生年金に加入している人は、国民年金にも加入することになり、同時に2つの年金に加入します。
また、年金を受給する際には国民年金に上乗せして厚生年金が支給される仕組みです。
厚生年金の平均年金月額については以下の通りです。
1.3 厚生年金の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金全体の平均月額は14万3973円です。
男性と女性とでは受給額に約6万円の差があります。
納付した保険料や給与などの報酬によって受給額が変わるため、このような男女差が生じていると考えられます。
また、厚生年金は配偶者や子による加算があったり、長期加入者特例があったりするため、個人によって受給額には差があります。