4. 役職定年の前後で収入はどう変わる?
役職定年の年齢を55歳とした場合、60歳までの収入差がどれほどあるのか確認しましょう。
まず、役職定年を導入していない企業の場合、55歳から60歳までの収入は以下の通りです。
- 係長職:37万800円×12ヵ月×5年=2224万8000円
- 課長職:49万800円×12ヵ月×5年=2944万8000円
- 部長職:59万6000円×12ヵ月×5年=3576万円
次に、57歳から役職定年を導入している場合、55歳から60歳までの収入の合計額を計算しましょう。
55歳から56歳は、役職者なので収入は以下の通りです。
- 係長職:37万800円×12ヵ月×2年=889万9200円
- 課長職:49万800円×12ヵ月×2年=1177万9200円
- 部長職:59万6000円×12ヵ月×2年=1430万4000円
57歳から60歳は、すべての役職者が一般職となるため、収入は以下の計算式となります。
- 29万1100円×12ヵ月×3年=1047万9600円
それぞれの合計収入と役職定年のない場合の収入差は、以下の通りになりました。
【役職:収入の合計・役職定年がない場合との収入差】
- 係長職:1937万8800円・286万9200円
- 課長職:2225万8800円・718万9200円
- 部長職:2478万3600円・1097万6400円
あくまでも厚生労働省の資料にある一般職との賃金差なので、実際は企業ごとに異なります。
いずれにしても年収が下がると、働くモチベーションが失われる人は多くなるでしょう。
5. 役職定年が今後どうなるか
役職定年のあり方は、時代や企業の事情によって異なります。
今後、制度の廃止がすすんでいくのか、引き続き注目していきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査の概況」
- パーソル総合研究所「管理職の移動配置に関する実態調査」
- 大和ハウス工業株式会社「60歳一律役職定年の廃止によるシニア社員の活躍推進 副業を中心とした「越境キャリア支援制度」」
- 山口フィナンシャルグループ「個人投資家さま向け会社説明会」
- ダイキン工業株式会社「65歳までの定年延長および人事・処遇制度の見直しを実施」
- NEC「役員の任期に関する制度改定について」
川辺 拓也