5. 年金の「繰下げ受給」で年金受給額が増える?
国民年金と厚生年金はどちらも原則65歳からの受給となりますが、この開始時期を遅らせることで、受給額を増やすことができます。
増加率は1ヶ月遅らせるごとに0.7%増え、1年間遅らせると8.4%になる計算です。
2022年4月以降は75歳(10年間)まで拡大されたので、最大で84%増やすことができるようになりました。
5.1 【早見表】繰下げ増額率の一覧表
繰下げ受給すると老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれについて増額され、増額は生涯続きます。
なお、国民年金・厚生年金どちらか一方のみを繰下げることも可能です。
繰下げ受給をしたい場合、66歳以後で繰下げ受給を希望する時期に手続きを行う必要があります。
手続きを行った時点で繰下げ増額率が決まりますので、手続きをする時期にも注意しておきましょう。
6. 将来に向けた資金対策を
今回は、40年間の平均月収が「約40万円」の場合に年金受給額がいくらになるのか試算してきました。
厚生年金は現役時代の収入を増やし、納付する保険料を多くすることで将来の年金額を増やすことができます。
しかし、収入をアップさせるのは転職や昇進が伴う必要があり、現実的には難しい問題です。
年金を増やすには、納付する保険料を増やす方法以外にも「繰下げ支給」を活用する選択肢もあります。
長い人生ですから、どのように老後生活を送るのかは人によって異なるでしょう。
これを機に、ご自身がどのようなセカンドライフを送りたいのか具体的にイメージし、将来のための資産形成について考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「老齢年金ガイド 令和5年度版」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
中本 智恵