2024年5月28日、厚生労働省の「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」が開かれました。
パートで働く人たちなど短時間労働者の厚生年金の加入をめぐり、現在「従業員101人以上」(10月から51人以上)としている企業規模の条件について撤廃する方針について議論が進んでいます。
働き方が多様化している日本では、このようにあらゆる働き方に合わせた柔軟な社会保障制度の構築が急がれます。
長い老後生活を考える上で、日本の公的年金に関する知識をつけておくことは非常に重要です。
そこで今回は公的年金の仕組みをおさらいし、厚生年金や国民年金の平均受給額について考えていきましょう。
1. 日本の公的年金のしくみ
日本の公的年金は、上記のように国民年金と厚生年金の2階建てになっています。
1.1 国民年金(1階部分)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律
- 納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる
1.2 厚生年金(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが加入する
- 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる
公的年金とは、国が運営する年金制度で、日本では20歳以上60歳未満の全ての人が加入する「国民皆年金制度」が採用されています。
現役世代が支払う保険料を高齢者の年金給付に充てる「世代間扶養」方式となっています。
1.3 厚生年金の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金全体の平均月額は14万3973円です。
老後の年金額は、現役時代の賃金と保険料納付期間に依存します。
男女で約6万円の差がありますが、これは賃金差と就業期間の違いに起因するものとされています。
男性の賃金は年齢とともに上昇しますが、女性は賃金の上昇率がなだらかです。
女性は介護や育児などをきっかけにキャリアを中断させることが多く、これが賃金の伸び悩みにも影響していると考えられます。
共働きがスタンダードになってきてはいますが、今一度老後のリスクを考慮し、安定した収入を確保する必要性を認識することが大切です。
年金をひと月20万円以上受給できれば生活できそうなものですが、実際には月10万円未満の方が多いのも事実です。
次章では厚生年金を「月額10万円台」を受給する人の割合をみていきます。