4. 【貯蓄】働かないと暮らせないの?シニア世代の貯蓄額を紐解く
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」をもとに、シニアの貯蓄額について確認します。
4.1 60歳代:単身世帯・二人以上世帯の平均貯蓄額
それぞれの世帯における貯蓄額の割合は、以下の通りです。
60歳代・単身世帯(平均:1468万円、中央値:210万円)
- 金融資産非保有:33.3%
- 100万円未満:8.5%
- 100~200万円未満:4.7%
- 200~300万円未満:2.8%
- 300~400万円未満:4.3%
- 400~500万円未満:2.4%
- 500~700万円未満:3.5%
- 700~1000万円未満:2.8%
- 1000~1500万円未満:6.6%
- 1500~2000万円未満:4.5%
- 2000~3000万円未満:8.0%
- 3000万円以上:15.1%
60歳代・二人以上世帯(平均:2026万円、中央値:700万円)
- 金融資産非保有:21.0%
- 100万円未満:5.9%
- 100~200万円未満:4.5%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:3.0%
- 400~500万円未満:1.9%
- 500~700万円未満:7.2%
- 700~1000万円未満:6.7%
- 1000~1500万円未満:6.8%
- 1500~2000万円未満:5.4%
- 2000~3000万円未満:9.5%
- 3000万円以上:20.5%
単身世帯では全体の約3割が金融資産非保有世帯に対し、二人以上の世帯では約2割にとどまりました。
貯蓄額の中央値をみると、単身世帯が210万円、二人以上の世帯は700万円です。
4.2 70歳代:単身世帯・二人以上世帯の平均貯蓄額
それぞれの世帯における貯蓄額の割合は、以下の通りです。
70歳代・単身世帯(平均:1529万円、中央値:500万円)
- 金融資産非保有:26.7%
- 100万円未満:5.8%
- 100~200万円未満:4.3%
- 200~300万円未満:4.1%
- 300~400万円未満:3.3%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.6%
- 700~1000万円未満:5.1%
- 1000~1500万円未満:8.6%
- 1500~2000万円未満:5.3%
- 2000~3000万円未満:8.2%
- 3000万円以上:17.3%
70歳代・二人以上世帯(平均:1757万円、中央値:700万円)
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
70歳代でも貯蓄のない世帯が一定の割合でいます。単身世帯ではおよそ4人に1人、二人以上の世帯では5世帯に1世帯が貯蓄できていません。
また、高い値に引っ張られるとされる「平均値」と、より実態に近しい「中央値」との開きも気になるところです。
こうした貯蓄状況から、生活のため働く必要があると考えるシニア世代が増えていると考えられます。
5. まとめにかえて
日本が向き合うべき課題の一つである「超高齢社会」。
内閣府「高齢社会白書」によると、2037年にはおよそ3人に1人が高齢者になると見込まれているといいます。
社会保険料の増加や物価高など、シニア世代を取り巻く生活状況は苦しくなっています。
長い老後を穏やかに過ごすためには、働く環境だけでなく生活費を見直す必要もあるでしょう。
年金の受給時期や将来に向けて必要な貯蓄額などを計画的に想定し、老後生活に備えていきたいものです。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年 高年齢者雇用状況等報告」
- 株式会社LIFULL「シニアの就業に関する意識調査」(PRTIMES)
- 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 内閣府「令和5年度高齢社会白書」
荒井 麻友子