4. 65歳以上リタイア世帯「老後資金」は最低いくら必要?
ここまで65歳リタイア世帯の暮らしぶりを「貯蓄額・年金額・生活費」に分けて見てきました。
これらの平均的な数値をベースに、老後資金として最低いくら必要になるのかをケース別に計算してみましょう。
※年金収入は平均月額(額面)を手取り額と想定してシミュレーションします。
4.1 夫婦ともに国民年金
夫婦ともに国民年金の世帯は、月額11万3224円の年金を受給します。
- 夫:5万8798円
- 妻:5万4426円
生活費(消費支出)は25万959円ですので、毎月13万7735円の赤字となります。
年間の赤字は165万2820円、20年間の赤字は3305万6400円です。
65歳から20年間、老後生活が続く場合、最低3305万6400円の老後資金が必要と考えられます。
4.2 夫「厚生年金」・妻「国民年金」
妻は国民年金のみ、夫が厚生年金の夫婦世帯は、月額21万8301円の年金を受給します。
- 夫:16万3875円
- 妻:5万4426円
生活費(消費支出)は25万959円ですので、毎月3万2658円の赤字となります。
年間の赤字は39万1896円、20年間の赤字は783万7920円です。
65歳から20年間、老後生活が続く場合、最低783万7920円の老後資金が必要と考えられます。
4.3 夫婦ともに厚生年金
夫婦ともに厚生年金の世帯は、月額26万8753円の年金を受給します。
- 夫:16万3875円
- 妻:10万4878円
生活費(消費支出)は25万959円ですので、毎月1万7794円の黒字となります。
夫婦ともに厚生年金を受給できる場合は、貯蓄が十分でなくても老後生活を送ることができる可能性があります。
上記はあくまでも老後対策を検討する上で、老後生活をイメージしやすいように簡易的にシミュレーションを行った結果です。
ご自身の年金見込額、生活費などより有効な数字を用いて、最低限必要な老後資金を計算してみてください。
5. まとめにかえて
本記事では、65歳以上リタイア世帯の貯蓄・年金額に・生活費に関するデータを眺めてきました。
冒頭でも触れましたが、2024年度は公的年金が増額した一方で、後期高齢者医療制度の保険料や介護保険料も増額しています。
また、日々の生活で実感していると思いますが、食品や生活必需品の値上がりも止まりません。
現役時代の収入もそう簡単にアップするものではありませんが、老後に収入を増やすことはより難しくなるでしょう。
そのため、老後に向けて「いま」手厚い準備をしておく必要があるのです。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
和田 直子