最近、家電量販店では、エアコンや炊飯器などがネットにつながり、スマートフォンなどでどこからでも操作や管理ができるという「IoT家電」が数多く売り出されています。女子からは「泣いてる顔文字みたいに見えるなーとは思ったけど、意味はよくわからない」などと言われるIoT(Internet of Things)、いわゆる「モノのインターネット」と呼ばれる技術ですが、ここ数年でさらに活用が進められてきています。

しかし、いまや世界規模でIoTが広まってきたからこそ、その技術を取り巻く国レベルの激しい競争や機器に潜む危険性も浮き彫りになってきているのです。

いまさら聞けない「IoTって何?」

テレビや新聞などメディアでも繰り返し解説されていると思いますが、あらためて「IoT」とは、世の中のありとあらゆるモノにセンサーや通信機能を搭載して、サーバーやパソコン・スマートフォンと、あるいはモノ同士で相互に通信させる技術です。

これによって、製品自体を遠隔で操作したり、ある機器はデータを取ってある機器はそのデータの変化に合わせて動いたりと、家庭からオフィス、工場まで、至るところに活用されています。

IoT技術の最大の特徴は、利用される業界の幅広さにあります。自動車業界では、多くのメーカーが進めている自動運転技術にIoTは欠かせない存在となっています。さらに、冒頭にも少し触れたように、「遠隔で操作ができる洗濯機」「スマートフォンを使って点けたり消したりすることができる照明」「気象情報を教えてくれる傘立て」など、IoTが搭載された家電製品は日本でもよく見られるようになりました。

ついでに世界の状況もおさらい

IoTの技術はいまや世界中で開発・研究が続けられ、数百億円単位の費用をかけて開発を行っている国もあります。すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、主な国の状況をざっと見てみましょう。

先進国の中でも、今後の拡大がいちばん見込まれているのは、アメリカによるIoT技術といわれます。GEやIBM、インテルなどアメリカのIT企業の有力5社が中心となって設立したIICという組織に、アメリカ政府は毎年1億ドルを投資することを発表しています。活用方法は、災害が起きたときの通信障害を軽減するシステムや、着用するものにIoTを搭載することで健康状態を数値化し、ヘルスケアに活かす機器など、多岐にわたっています。

世界の中でもIoT技術の活用が進んでいたドイツは、アメリカには及ばないまでも、特に製造業に絞った技術開発を進め、政府主体で「インダストリー4.0」というプロジェクトを推進しています。IoT技術で製造用機械の監視システムや自律システムを進化させることで、より低コストでの製造を可能にする狙いがあります。

「セキュリティ」が大きな問題に

すでにオフィスや家庭にも幅広く活用され始めているIoTですが、実はいま、その危険性が問題視されています。特にIoTで大きな問題となっているのは「セキュリティ」です。

さまざまなモノがインターネットにつながっている状態でありながら、そのセキュリティ対策はまだ充分でなく、ハッキングなどを受けてしまう可能性があるというのです。実際に、あるカジノでIoTを搭載した「温度計」がハッキングされて、そこから店内のネットワークに侵入を許し、客の個人情報が盗まれたという事例が確認されています。

手軽なウェブカメラに潜む危険!?

あるいは、インターネット経由で家の中の様子を確認できる「ウェブカメラ」。仕事中や買い物中でもスマートフォンで家のペットや子どもの様子が確認でき、しかも安いものなら2000円弱からと、わりと気軽に買えることもあって人気があるのですが、これがハッキングされる被害も実際に出てきています。家の中がよく見えるように設置するものだけに、これが乗っ取られたりデータ通信が傍受されたりすると、それこそ家の様子が第三者に筒抜けになってしまいます。

IoTを利用したホームセキュリティの機器なども注目されている昨今ですが、上記のように機器自体の安全性もまた問われています。われわれの暮らしをより良く、便利にしてくれるのは間違いないIoT技術ですが、多少は高くてもセキュリティの高い製品を選ぶなど、われわれのほうも、関わり方をきちんと見直す必要があるかもしれません。

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