ゴールドマン参戦でビットコイン人気に再点火、価格はどうなる?

ゴールドマンがビットコイン取引を開始へ、他大手行も追随か

米大手金融機関のゴールドマンサックスが近い将来、自己資本を利用してビットコイン先物取引を開始する見通しとなりました。

ウォール街はこれまで、規制当局による法整備の遅れやハッキング対策といった安全性の問題などからビットコインをはじめとする仮想通貨の取引には二の足を踏んできました。

しかし、2017年には150を超えるヘッジファンドが仮想通貨での運用を開始し、一部では1000%を上回る利益を挙げたようです。

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仮想通貨投資での儲け話が広まるにつれ、米大手金融機関に対する投資家からの需要も急激に高まったようで、ゴールドマンも取引の開始は投資家からの要望に応えるためであり、ビットコインへの信頼性が増したわけではないと述べています。

とはいえ、昨年12月に世界最大の取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)でビットコインの先物取引が始まったほか、4月下旬にはナスダックが仮想通貨取引所を運営するジェミニとパートナーシップを結び、将来的に仮想通貨取引所への参入を検討していることを明らかにしています。

ゴールドマンのビットコイン先物取引への参戦をきっかとして、他の米大手金融機関や大手取引所が続々と仮想通貨市場へ参入してくるとの観測が広がっています。

基本は手数料ビジネス、先物上場の教訓も

ゴールドマンの本格参戦を受けて、ビットコイン価格が急上昇し、2カ月ぶりに1万ドルの節目に迫っています。

世界金融の中心地であるウォール街からの初めての本格参戦とあって、金融市場は色めき立っていますが、大手金融機関の仮想通貨市場への参入が短期的にマーケットに及ぼす影響は慎重に見極める必要があるかもしれません。

今回のゴールドマン参戦の背景には高額取引への需要があり、当面は相対取引(OTC)による先物取引が見込まれていますが、ゴールドマンに限らず、金融機関にとってこのOTCでのデリバティブ取引は最も手数料が稼げる“おいしい”ビジネスと考えられており、あくまでも手数料が目当てと思われるからです。

たとえば、既にまとまった量のビットコインを所有している投資家は、ビットコインを現金化するためにマーケットでの売却を試みると、自らの売りをきっかけに相場を崩してしまう恐れがあります。そこで、ゴールドマンには割高な手数料を払ってでも買い手になってもらうインセンティブがあるわけです。

ゴールドマンは引き受けた買いポジションのリスクをヘッジするために、たとえばCMEの先物市場で売りポジション作ることが予想されます。

同様に、投資家が自らの買いでビットコインの価格が上昇してしまうことを避けるためにゴールドマンとのOTCを希望すれば、ゴールドマンは売りポジションを持つことになり、先物市場で買いヘッジをかけることになります。

このように、金融機関によるOTCでのデリバティブ取引は手数料が目当てであって、積極的な売り買いのポジションを取るとは考えづらいでしょう。

結局のところ、相場の方向性を決めるのは、既存のビットコイナーからの売りと新規のビットコイナーからの買いとの綱引きといえそうです。

ただ、大手金融機関の参戦によって先物取引を利用したヘッジが増えると予想されますので、商品先物取引委員会(CFTC)が公表している建玉明細により注目が集まるかもしれません。

たとえば、5月1日現在の投機筋のビットコイン先物のポジションは3287枚の買いに対して、4884枚の売りとなっており、ネットで1597枚の売り越しとなっています。1週間前の4月24日時点と比べて、ネットでの売り越しが232枚減少しており、ヘッジファンドが売りポジションを整理している様子がうかがえる、といった具合です。

金融機関の参戦で必ずしもビットコインの需要が増えるわけではないのは、CMEでの先物取引開始と同じといえるかもしれません。もちろん、認知度や利便性が高まることで需要が増える公算が大きいと考えることはできますが、それが現実になるかどうかは不透明です。

CMEでの先物取引開始とほぼ時を同じくしてビットコイン価格は最高値を付けましたが、その後に急落したことは教訓となるかもしれません。

バフェット氏は仮想通貨に批判的だが・・・?

ところで、ビットコインへの批判は、1990年代に巨額損出事件が相次いだデリバティブへの批判と似ているとの声があります。

「ビットコインは詐欺だ」というのはビットコインそのものが詐欺だといっているわけではなく、仮想通貨関連ビジネスを総称して「ビットコイン」と呼んでいるのであり、一部のICO(イニシャル・コイン・オファリング)が含まれているとも考えられます。

したがって、仮想通貨に問題があるというよりも仮想通貨を扱う人間の問題であり、この点では人為的なミスで損失が相次いだデリバティブへの批判と酷似しているといえそうです。

たとえば、“投資の神様”ことウォーレン・バフェット氏は仮想通貨の懐疑論者として知られていますが、同氏はデリバティブを「金融市場の大量破壊兵器」と呼び、「デリバティブは危険」と警鐘を鳴らしています。

また、「自分が理解できるビジネス、尊敬できるビジネス」にしか投資しないとの信念から、IT企業・ハイテク企業には長らく投資をしていませんでした。

しかし、バフェット氏は自身の取引ではデリバティブを利用しており、いつのまにかアップル株では第3位の大株主となり、ハイテク株への積極的な投資が見受けられます。

同氏は仮想通貨は最終的には無価値になると予想し、「悪い結末を迎えるのは確実」と述べていますが、同氏のこれまでの発言と投資行動は必ずしも一致してはいません。

デリバティブは危険だと批判されながらも燎原の火のごとく金融市場に普及しました。また、インターネットが世の中を大きく変えたことは周知の通りでしょう。今回もバフェット氏の仮想通貨批判は、その内容とは裏腹に、将来が約束されたご託宣となるのかもしれません。

LIMO編集部

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LIMO編集部

LIMO編集部は、個人投資家向け金融経済メディアであるLongine(ロンジン)の執筆者である国内外大手証券会社で証券アナリストや運用会社のファンドマネージャーとして長年の調査や運用経験を持つメンバーやビジネス系インターネットメディアでの運営経験者等を中心に立ち上げ。その後Longineのサービスは2020年3月に終了となったが、Longine編集部のメンバーは引き続きLIMO編集部のメンバーとして在籍し、お金のプロとしてコンテンツ編集や情報を発信しています。LIMO編集部は、証券・金融業務メンバーに業界紙出身の新聞記者などもメンバーに加え、国内のみならずグローバルの視点から、金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデア、ビジネスパーソンの役に立つ情報をわかりやすくお届けします。