皆様は年金暮らしと聞くとどのような生活を想像するでしょうか。
私が就職したころは「年金暮らし」と聞くと60歳から年金支給がスタートし、働く世代が子どもに変えないおもちゃを親に代わって孫へと買い与えるような、悠々自適な生活をしている老人のイメージでした。
しかし、今では老後資金を年金だけでやりくりできる方は一握りの様子。「孫のおねだりなんて、到底叶えてあげられない」といった人も少なくないかもしれません。
老後資金の対策を進めるうえで、最初に確認しておきたいのが年金額。
本記事では2024年度の年金額と公的年金だけで暮らすシニア世帯の割合を確認していきます。
記事の後半では厚生労働省から公表された「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、最新の厚生年金と国民年金の受給額を確認します。
1. 2024年度は2.7%の増額改定:最新の年金額モデル
まずは厚生労働省より公表された、2024年度の年金額モデル例を確認してみましょう。
1.1 2024年度の年金額の例(国民年金と厚生年金)月額
- 国民年金(満額):6万8000円(+1750円)
- 厚生年金※:23万483円(+6001円)
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で 40年間就業した場合、受け取り始める「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」。
ちなみに厚生年金はモデル夫婦での金額であり、1人分に換算すると16万2483円です。
これを多いと受け取るか少ないと受け取るかは個々人の貯蓄額にもよると思いますが、公的年金だけで暮らすのにはなかなハードルが高いと感じている人もいるかもしれません。
実際に、公的年金だけで暮らしている人はどれだけいるのでしょうか。
2. 公的年金だけで生活している高齢者世帯の割合
厚生労働省「国民生活基礎調査」(2022年)によると、公的年金を受給している高齢者世帯のなかで「公的年金だけで生活している世帯(総所得に占める公的年金の割合が100%の世帯)」は44%でした。
高齢者世帯のおよそ4割が、年金だけで生活しているとわかります。
つまり、残りのおよそ6割(56%)の世帯は年金だけでは生活できていないということ。かなり厳しい現実が明らかになりました。
次の章からは、年齢別に老後に受給している平均年金受給額をチェックしていきましょう。
3. 【年齢別一覧表】60歳~90歳以上「国民年金」の平均年金月額は?
厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、2022年度末時点の公的年金の平均受給額をみていきましょう。
この章では、国民年金について確認していきます。年齢別の平均受給月額は、以下のとおりです。
3.1 国民年金:平均受給月額(60歳~69歳)
- 60歳:国民年金4万2616円
- 61歳:国民年金4万420円
- 62歳:国民年金4万2513円
- 63歳:国民年金4万3711円
- 64歳:国民年金4万4352円
- 65歳:国民年金5万8070円
- 66歳:国民年金5万8012円
- 67歳:国民年金5万7924円
- 68歳:国民年金5万7722円
- 69歳:国民年金5万7515円
3.2 国民年金:平均受給月額(70歳~79歳)
- 70歳:国民年金5万7320円
- 71歳:国民年金5万7294円
- 72歳:国民年金5万7092円
- 73歳:国民年金5万6945円
- 74歳:国民年金5万6852円
- 75歳:国民年金5万6659円
- 76歳:国民年金5万6453円
- 77歳:国民年金5万6017円
- 78歳:国民年金5万5981円
- 79歳:国民年金5万5652円
3.3 国民年金:平均受給月額(80歳~89歳)
- 80歳:国民年金5万5413円
- 81歳:国民年金5万5283円
- 82歳:国民年金5万7003円
- 83歳:国民年金5万6779円
- 84歳:国民年金5万6605円
- 85歳:国民年金5万6609円
- 86歳:国民年金5万6179円
- 87歳:国民年金5万6030円
- 88歳:国民年金5万5763円
- 89歳:国民年金5万5312円
3.4 国民年金:平均受給月額(90歳以上)
- 90歳以上:国民年金5万1974円
※65歳未満の国民年金の受給権者は、繰上げ支給を選択した方
国民年金の平均月額は5万円台。つまり、夫婦ともに国民年金のみの場合、世帯の年金収入は月額約11万円となります。
この数字だけをみると、国民年金だけで老後生活をやりくりするのは難しそうです。
それでは、仕組み上、国民年金より手厚いとされる厚生年金の平均受給月額はいくら程なのでしょうか。
次の章から、詳しくみていきましょう。