30歳で貯金残高0円、どうするべきか
30歳というと、結婚も子どももマイホームもまだこれから、という人も多いのではないでしょうか。とすると、貯金0円なのにお金がかかるライフイベントがここから目白押しになるというのは想像に難くないですね。
ざっくり計算してみても、結婚資金は相場が400万円前後、都心部にマイホームを構えるなら分譲マンションであっても4000万円は下らないでしょう。頭金は2割が相場と言われていますから、マンションを買うまでに800万円用意しておく必要があります。
さらに、子どもの教育資金も1人3000万円といわれる時代です。もちろん、小学校からすべて私立へ行ったり私大医学部へ進学したりしたケースも含めての平均値でしょうから、皆が皆3000万円かかるとは限りません。が、親としては子どもが望む道に進ませてあげたいと思うでしょうし、3000万円が相場だといわれたら「3000万円用意しなきゃいけないのか」と感じる人も多いと思います。
こうしてみると、30歳で貯金0円ってかなりまずいかも、と感じた人もいるでしょう。確かに、貯金はあるに越したことはないですし、20代で1000万円貯金があるという人と比べたら、不利な状況であることは間違いありません。しかし、だからといってお金を貯めないという手はないですし、30歳からでも60歳まで30年、65歳定年であればまだ35年間もあるのです。そう思うと、あまり難しい気はしないのではないでしょうか。
老後資金のための貯金に毎月出せる金額を計算する
とはいえ、3000万円というまとまった金額を30年後に用意するということは、計画を立てて実行していかないと難しいことです。漠然と、30年後に3000万円と聞くと「行けるかも」と思ってしまうかもしれませんが、これを少しずつ細分化していきましょう。そうすると、現実が見えてくるはずです。
30年間で3000万円、つまり10年間で1000万円、1年で100万円、1か月で8.4万円。となると結構大変だと思いませんか。毎月の手取りが30万円あったとしても、25%以上は貯金にまわさなければならないのです。
さらに、先ほど言ったような老後資金以外にもまとまったお金が必要になるのです。そのための貯金もしておかなくてはなりません。ちなみに、こういう場合には預金口座を分けておいてください。できれば目的ごとに預金口座を分けることをオススメします。「マイホーム」「教育資金」「老後資金」「その他(マイカー、旅行、結婚資金など)」という感じで分けるといいですね。すると、目標金額と現実の貯金額とのギャップがはっきりします。
預金口座に入金して残高を見るたび、現実を突きつけられるので貯金への意識を新たにできますし、計画も立てやすくなります。貯金の配分については、目標金額と必要となる時期のバランスを見て、毎月の貯金額を決定しましょう。老後資金の貯金というのは常にある目標で、30年先をイメージした貯金です。しかし、マイホームや結婚資金はもっと早く必要となるお金ですよね。老後資金は細々とでもいいので長く続けることが大事です。
老後資産の形成にはさまざまなサポートがある
老後資産の形成には、実は様々なサポートがあります。たとえば、その代表格と言えるのがiDeCoです。うさん臭いと、まだ手続きをしていない人も多いと思いますが、正直使わない手はないほど節税効果が高いのです。具体的には、掛金を拠出するとき、運用益が出た時、受け取るときの3段階で節税効果の恩恵を受けられます。
たとえば、年収500万円の30歳の人が毎月3万円、60歳になるまで積み立て続けると30年間で216万円も節税できるのです。これを使わない手はないですよね(参考:iDeCo公式サイト – かんたん税制優遇シミュレーション)。
しかも、iDeCoの場合は運用益にかかる税金もなく、いまはゼロ金利時代なのでもったいない気もしますが、元本確保型商品として預金や保険という選択肢もあります。また、iDeCoの場合は60歳になるまで原則お金を引き出すことができないので、ある意味、先に述べた「老後資金形成のための専用口座」としても活用できるわけです。老後資金を用意したいと思うのならば、iDeCoを活用するのもいいですよね。
ちなみに、金融庁の資産運用シミュレーションで計算してみると、想定利回り(年率)3%、毎月の積立金額5万円という条件で30年間積み立てつづけると、最終積立金額は29,136,844円となります。3000万円というのが結構現実味を帯びてきますよね。
全額を投資に充てろということでは全くありません。預金で元本を損なうことなく安全に預金する必要もあります。特に老後資金という、後がない資産運用の場合は「手堅さ」というのも、どこかにおいておかなくてはなりません。一方で、預金よりも高い利回りの力がないと現実的に3000万円という数字に近づかないというのも事実です。そのバランスをよく考えて、老後資金の計画を立てる必要があるのです。