3. 「国民年金・厚生年金」から天引きされる4つのお金の仕組み

公的年金「国民年金・厚生年金」から天引きされる、税金や社会保険料を詳しくみていきましょう。

それぞれ、課税・支払い対象となる金額目安にも注目してみてください。

3.1 所得税および復興特別所得税

実は「雑所得」扱いである公的年金。

一定額以上の年金を受給しているケースでは、給与などと同様に所得税が課税されます。

「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、復興特別所得税もかかります。

ただし、収入が公的年金のみの場合、以下のケースでは所得税が非課税となります。

  • 65歳未満:108万円以下
  • 65歳以上:158万円以下

さらに、障害年金や遺族年金を受給する場合も非課税の対象です。

3.2 個人住民税

住民税は、前年中の「所得」に対してかかる税金。

先程の所得税と同様に、一定額以上の年金を受給している場合に課税されます。

一方、年金収入が一定額以下の場合には住民税が非課税となる「住民税非課税世帯」と分類されます。なお、所得税と同じく障害年金や遺族年金を受給する場合も住民税が非課税となります。

住民税非課税世帯の要件は、各自治体によって異なるため注意が必要です。

お住まいの自治体ホームページや窓口にて確認してみてください。

3.3 介護保険料

介護保険料は、40歳から64歳までは健康保険料に含まれて支払われます。

65歳以降、切り離されて単独で支払うかたちとなるのです。

そして、年間の年金支給額が「18万円以上」のケースで天引きされます。

なお、介護保険料は「介護認定」をされた場合も支払いの義務が発生しつづけるため覚えておくとよいでしょう。

3.4 国民健康保険料・後期高齢者医療制度の保険料

国民健康保険は75歳未満の人が加入する「公的医療保険」。75歳以上は「後期高齢者医療保険」という健康保険に切り替わります。

これらも介護保険料と同様に、年間の年金支給額が「18万円以上」の場合に年金から天引きされます。

国民健康保険と後期高齢者医療保険はどちらかの保険への加入となり、同時加入はされません。

ちなみに、支給予定の年金額が記された「ねんきん定期便」には、税引前の金額が記載されています。

この金額を額面通りに捉えると、いざ支給されたときに少々混乱してしまうので頭の片隅においておきましょう。

年金からの天引き制度は、受給側であるシニア世帯は税金や社会保険料を支払いに出向かずに納税や支払いが完了し、支給側である自治体や国は税収を確実に確保できるため採用されているのだとか。

たしかに、ただでさえ外出が難しくなりがちな老後生活において支払い漏れがなくなるのは安心できます。

支給される年金から税金や保険料が天引きされますが、なかには天引きされないケースもあります。

次の章から、対象となる要件などを詳しくチェックしていきましょう。