3. 60歳代「貯蓄2000万円以上」の割合は?平均・中央値もみる
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」より、60歳代・二人以上世帯の貯蓄事情を確認します(金融資産を保有していない世帯を含む)。
3.1 【60歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:2026万円
- 中央値:700万円
60歳代の貯蓄額は平均で2000万円を超えていますが、より実態に近い中央値は700万円となっており、家庭差はあるものの余裕のないご家庭も少なくないでしょう。
少し前に話題になった貯蓄2000万円以上の割合は30%。
つまり、7割は貯蓄2000万円以下であり、老後資金に不安を抱える家庭も多いでしょう。
同調査より貯蓄保有世帯のみの貯蓄額について見ていきましょう。
3.2 【60歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値 ※貯蓄保有世帯のみ
- 平均:2588万円
- 中央値:1200万円
貯蓄保有世帯の場合、中央値で1000万円を超えましたが、「老後2000万円」には届きませんでした。
なお、老後2000万円が話題になったのは2019年であり、その後の物価高による影響により、さらに老後資金を用意する必要性も考えられます。
社会情勢の影響による影響まで考慮すると、早くから老後資金の準備をおこなう必要性は年々高まっているでしょう。
4. 望むセカンドライフを送るための備えを
健康寿命や平均寿命がのびてはいますが、「老後はリタイアしてゆっくりと自分の好きなことをして過ごしたい」と考える方も多いでしょう。
ただ年金月額やシニアの貯蓄額をみると、望むセカンドライフを過ごすためには、若いうちから計画的に老後資金対策をおこなうことが必要だといえます。
少子高齢化が進み、また高齢者の定義に対する意見が挙がっている現代においては、セカンドライフの過ごし方のスタンダードも変化していく可能性が考えられます。
これを機に、ご自身の望むセカンドライフを思い描きながら、それにあわせたキャリアやマネープランを考えてみてはいかがでしょうか。
4.1 【ご参考】60歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:21.0%
- 100万円未満:5.9%
- 100~200万円未満:4.5%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:3.0%
- 400~500万円未満:1.9%
- 500~700万円未満:7.2%
- 700~1000万円未満:6.7%
- 1000~1500万円未満:6.8%
- 1500~2000万円未満:5.4%
- 2000~3000万円未満:9.5%
- 3000万円以上:20.5%
- 平均:2026万円
- 中央値:700万円
参考資料
- 内閣府「令和6年第6回経済財政諮問会議 資料1誰もが活躍できるウェルビーイングの高い社会の実現に向けて①(女性活躍・子育て両立支援、全世代型リスキリング、予防・健康づくり)」
- 厚生労働省「令和5年版高齢社会白書(全体版)第2節 高齢期の暮らしの動向(2)」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
宮野 茉莉子