皆さんが思う「気がきく人」とはどのような人でしょうか。思いもよらないシーンで、自分にはできないような対応がさっとできる人が周りにいたりしませんか。そんな行動を目にすると、自分もそのようになりたいと思ったりするものです。今回は気がきく人に必要な条件をまとめてみました。
その1:全体の中での自分を認識できる(システム思考)
気がきくという評価は自分だけでは成立しません。つまり気がきくと感じる相手、すなわち他者が必要です。また、その他者も一人ではなく複数いる場合が普通です。特定の相手だけに気がきいていても、「あの人は気がきく」とは言われないはずです。というのは、特定の相手以外の人に気づかれなければ、そうした評価が共有されないからです。
つまり、気がきく人は、複数の他者の中で自分の立ち位置を認識している人と言えます。
また、複数の他者がいる中で、自分が様々な人と結びついて存在していることを理解することも必要です。自分から見た他者一人ずつに対しての関係性があるだけではなく、その他者からも様々なルートを経由して自分に関係性が戻ってくるということを把握している人が人間関係の構造をしっかり理解できるのです。
そうした前提の中で、自分の行動がどういう影響を及ぼすのかを考えることができれば、他人から見て気づかないことをいちはやくできる素地が整ったと言えるでしょう。このように、自分の存在する人間関係を一つのシステムとして捉えることができるかどうかが第一歩です。
その2:物事を動的に捉えることができる(ダイナミックアプローチ)
その1では人間関係を一つのシステムになぞらえましたが、そのシステムの一つの構成要素が変化すれば、システム全体に影響を及ぼします。
自分が行動することで他者に影響を及ぼし、その他者がさらに他者に影響を及ぼし、最後には自分にその影響が戻ってくることもあるでしょう。人間関係は常に変化する動的な(ダイナミック)システムと言えます。したがって、そうした動的なシステムに対峙しているのだという心構えが必要です。
「自分がこう行動することで、相手はこう動く」「自分がこう発言することで、相手はこう考える」というように、時間とともにシステムがどのように動くのかを先読みすることができるという点が、気がきく人には共通しています。
その3:他人に興味がある人(ボトムアップアプローチ)
ここまで人間関係というシステム全体について言及してきましたが、当然ながらそのシステムの構成要素である人間自体が極めて重要です。
その人を好きになるかどうかは別にして、どのような人なのかと興味を持つことが前提となります。興味を持って相手を知ることをすれば、その人がどのようなふるまい(ビヘイビア)をするかを想像することができるからです。その人の行動がシステムにどのような影響を与えるかを前もって考えることをしておいても損はないでしょう。
気をきかせる相手を必ずしも好きになる必要はありません。誰しも嫌いな人や苦手な人は常にいるものです。ただ、嫌いな人に対しても気をきかせないと、それ以外の人に対して気をきかせることができないという状況も出てくることでしょう。人間関係というシステムを俯瞰することができていればそう理解できるはずです。
また、個人に興味を持っていると、そこから全体像が見えてくることもあります。そうした点を積み上げて全体を俯瞰するようなボトムアップアプローチもシステムを把握するのには役立ちます。
おわりに
気をきかせる、というと1対1の関係のように思えますが、実際はその背後にある、また見えにくい多くの人とのつながりによって「気がきく人」かどうかの判断がされているのではないでしょうか。
また、こうしてみると「気がきかない人」の共通項も見えてきます。それは上記の要素の逆であるわけで、つまり、物事を俯瞰して見れない人、物事を静的に見てしまう人、そして最後に他人に興味がない人、と言えそうです。
LIMO編集部