2. 学費は公立の約2.7倍かかる

文部科学省「結果の概要-令和3年度子供の学習費調査」によると、公立中学校と私立中学校では、学費におよそ2.7倍の差が生じています。

1年間にかかる学費は、公立中学校で54万円、私立中学校で約144万円です。なお、この金額は給食費や学校外活動費も含みます。

では、学費の内訳について詳しく見てみましょう。

【公立・私立】中学校の学費の内訳

【公立・私立】中学校の学費の内訳

出所:文部科学省「結果の概要-令和3年度子供の学習費調査」

2.1 公立中学校

  • 学校教育費:13万2349円
  • 入学金等:507円(0.4%)
  • 授業料:なし
  • 修学旅行費等:1万5824円 (12.0%)
  • 学校納付金等:1万4538円(11.0%)
  • 図書・学用品・実習材料費等:3万2368円 (24.5%)
  • 教科外活動費:2万4172円(18.3%)
  • 通学関係費:3万9516円(29.9%)
  • その他:5424円(4.1%)

2.2 私立中学校

  • 学校教育費:106万1350円
  • 入学金等:12万2368 (11.5%)
  • 授業料:47万6159円 (44.9%)
  • 修学旅行費等:3万988円(2.9%)
  • 学校納付金等:16万3233円(15.4%)
  • 図書・学用品・実習材料費等:6万8578円(6.5%)
  • 教科外活動費:3万7172円(3.5%)
  • 通学関係費:15万2487円(14.4%)
  • その他:1万365円(1.0%)

公立中学校で最も高額な費用がかかるのは通学関係費で、次いで多いのが図書・学用品・実習材料費等です。

一方、私立中学校では授業料が最も多く50万円近くかかり、次いで学校納付金等が多くなっています。

公立なら支払う必要のない授業料や入学金、学校納付金が必要になることや、通学関係費や図書・学用品・実習材料費などが公立よりも高額になっているため、学費が高額になっています。

3. 都道府県の学費支援制度の補助金を利用する

私立学校に通学する子どものいる世帯を対象に、学費支援制度を設けている都道府県があります。本記事では、東京都と埼玉県を例にとってご紹介していきます。

3.1 東京都|私立中学校等授業料軽減助成金事業

東京都内の私立中学校等に通う生徒の、授業料の一部の補助が受けられる制度です。

利用できるのは以下の条件にいずれも該当する方です。

  1. 生徒と保護者が東京都内に住所がある(都内に住所があれば、都外の学校に通学する場合も対象)
  2. 都内・都外の私立中学校等に在学している生徒の保護者等

助成額は、生徒一人当たり年額10万円です。令和6年度の申請から所得制限は廃止されたため、所得にかかわらず利用可能です。

3.2 埼玉県|父母負担軽減事業補助金

埼玉県では、父母負担軽減事業補助金事業を行っており、県が認可した私立の小学校・中学校・高等学校等に通う子どものいる世帯に対し補助金を給付しています。

補助を受けるためには、生徒と保護者が埼玉県内に住んでいることのほかに、所得要件を満たしている必要があります。

補助額は令和5年度の場合、生徒一人当たり33万6000円が上限でした。なお、令和6年度については、5月中に公表される予定です。

4. 学校ごとの「特待生制度」もチェックしよう

私立中学校の中には、一定の成績を収めている生徒やスポーツの実績がある生徒などを対象に、特待生制度を設けているところがあります。

具体的な内容は学校ごとに異なりますが、入学金や授業料の減額や免除を受けられるのが一般的です。

学力特待生の選抜方法は、「入学試験で〇点以上」や「受験者中 上位〇番目以内」といった基準が設けられているケースがあるほか、特待生枠の試験を行うケースもあります。

学校ごとに基準が異なるため、受験したい学校の詳細を早めにチェックすることをおすすめします。

5. まとめにかえて

私立の中高一貫校には、年収1000万円以上の世帯の子どもが半数以上を占めていますが、年収500万円程の世帯でも通わせている世帯はあります。

子どもが小さいうちから学費を貯めておくほか、都道府県で設けられている学資支援制度を活用したり、各学校の特待生制度に応募したりする方法も検討しましょう。

子どもに最適な学習環境を与えてあげるためには、計画的な資金準備と情報収集を欠かさないことが大切です。

参考資料

木内 菜穂子