結婚して出産すると、なかなか思うように仕事をこなせなくなることがあります。産後も働きやすい制度が整っている会社であっても、一緒に働く仲間が快く協力してくれるとは限りません。

特に働くママが衝突しやすいのが、未婚女性。なぜ職場で女性同士の問題がしばしば起こるのでしょうか。また、この問題は当事者が考え方を変えるだけで改善されるのでしょうか。

トラブルの正体は嫉妬?

未婚女性と働くママの関係がこじれるのは、だいたいこのような気持ちからではないでしょうか。

「時間の制限なく働けるっていいな。こっちは休憩もそこそこに仕事しているのに」
「仕事終わりに自由に飲みに行けていいな。ストレス発散できるじゃない」

「お迎えを理由に残業を断れるなんてずるい。私も早く帰りたいのに」
「早退や急な休みが簡単に認められていいな。その分こっちが仕事をこなすのに」

こうして「いいな」や「ずるい」が増えると、歯車が狂い始めますよね。未婚女性と働くママは、お互いに“自分が欲しいものを手にしている人”という関係。だからこそ、本当は心の奥底に相手を羨む気持ちがあるのかもしれません。実際に、お互いもしくはどちらかのプライベートがうまくいっていないときほど、トラブルが起こりやすい気がします。

立場はいつか変わる

働くママも、かつては未婚女性のひとりでした。だから、昔の自分を思い出すことで未婚女性の気持ちを相手の立場になって理解することもできるでしょう。

しかし、未婚女性は子育てと仕事の両立を経験したことがありません。そのため、いくら相手の立場で考えようと思っていても、なかなか働くママの苦労や葛藤を理解できないのは仕方がないことでしょう。働くママが「未婚女性が私たちを良く思わないことはやむを得ない」と、ある程度は割り切る覚悟も必要かもしれません。

ただ、未婚女性だって数年後に出産して働くママになる可能性もあるし、子どもがいなくても親の介護や家族の体調不良で職場の誰かに迷惑をかける可能性だってあるでしょう。現在の立場だけで考えずに、今は私が助ける役・今度は私が頼る役と長い目で物ごとを捉えられると良いですね。

女性特有の問題:未婚と既婚の壁

未婚者と既婚者の溝って、男性にはあまりないことだと思いませんか? それは、なぜなのでしょうか。考えられるのは、まず「女性は結婚して出産することが幸せ」といったような価値観がいまだに少し残っていること。この意識が心の奥底に根付いていることで、まるで未婚女性の立場が低いかのような空気になることがあります。

対して、さまざまな会社が、働くママが仕事をしやすい制度づくりを進めています。これでは、未婚女性が働くママに対してプラスの感情を抱くことができないのも無理もないのかもしれません。

また、働くママの目線で見ると、育児のほとんどを女性が担うのが多くの夫婦の現状。仕事に穴をあけて迷惑をかけていることを申し訳なく思いながらも、なすすべがないのです。そこに未婚女性から「あなたの穴埋めは私たちがするのよ」と言わんばかりの態度を取られると、心が疲弊してしまいますよね。未婚女性と働くママのトラブルは、当事者同士の我慢や努力だけで解決できるとは言えないのではないでしょうか。

海外の男性育児参加事情

海外には、男性の育児参加に対して協力的な国がたくさんあります。たとえばノルウェーでは、パパが育児休暇を取得しなければ給付金がもらえないという制度を実施し、2012年以降は男性の育休取得率も90%を超えていると言われています。パパが育休を取得することで受け取れる給付金は、給料の80~100%だそうです。

ドイツでは、パパが育休中でも子どもが生まれる前の給料の約70%近い給付金を受け取ることができるそうです(上限額の設定あり)。これにより「育休を取得することで生活ができなくなるのでは?」という不安が軽減されて、パパが積極的に育児に参加できるのです。

対して、日本はどうでしょうか。「イクメン」という言葉を耳にする機会も増えましたが、あくまでも「手が空いているときは積極的に育児参加をする」程度の家庭が多いのが現状ではないでしょうか。また、休むこと=周囲に迷惑をかけるので良くないという意識が強い会社も多く、仮に休める制度があってもなかなか休暇を取得できない場合もあります。

まとめ

未婚女性と働くママのトラブルは、単なる女性同士のケンカではないように感じます。日本ではいまだに昔ながらの「男性を重んじて女性の立場が下だ」という考えが残っていて、どんな立場の女性も少し生きづらい世の中になっているのかもしれませんね。そんな環境を毎日生き抜いている女同士だからこそ、結束すれば大きなパワーを発揮できるのですが…。今のあなたはどの立場にいて、どう考えますか?

桜井 まどか