内閣府によると、65歳以上人口は3624万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は29.0%となりました。
高齢化社会が進む日本において、老後の暮らしに向けて「貯蓄と年金」「支出」のバランスを考えておくことは非常に重要です。
そこで本記事では、65歳以上・シニア世代のお財布事情「貯蓄額・年金額・生活費」をデータで確認しながら、老後対策について考えてみたいと思います。
1. 65歳以上の夫婦世帯「貯蓄額」は平均いくら?
最初に、65歳以上「夫婦世帯」の貯蓄額は平均でどのくらいあるのか確認していきましょう。
総務省統計局が公表している「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄の分布は下記の結果になりました。
- 平均値:2414万円
- 中央値:1677万円
- 100万円未満:7.8%
- 100~200万円未満:3.4%
- 200~300万円未満:3.2%
- 300~400万円未満:3.5%
- 400~500万円未満:3.3%
- 500~600万円未満:3.5%
- 600~700万円未満:2.8%
- 700~800万円未満:2.6%
- 800~900万円未満:3.4%
- 900~2000万円未満:2.4%
- 1000~1200万円未満:6.1%
- 1200~1400万円未満:4.4%
- 1400~1600万円未満:3.7%
- 1600~1800万円未満:4.2%
- 1800~2000万円未満:3.2%
- 2000~2500万円未満:8.3%
- 2500~3000万円未満:6.3%
- 3000~4000万円未満:10.0%
- 4000万円以上:17.9%
世帯主が65歳以上の夫婦世帯の貯蓄額は、平均値と中央値で700万円ほど乖離していることが分かります。
平均値は一部の富裕層によって数値が引き上げられてしまうため、より実態に近い数値を知りたい場合は中央値を参考にするとよいでしょう。
中央値は「1677万円」となっており、まとまった金額を貯蓄している人が一定数いることがうかがえます。
ただし、貯蓄額が2000万円以上の世帯が全体の約4割 (42.5%)を占めている一方で、貯蓄額が300万円の世帯が全体の約1割(14.4%)存在しています。
家庭により貯蓄事情が異なるとはいえ、世帯格差が大きいことがうかがえます。
2. 65歳以上の夫婦世帯「年金額」は平均いくら?
老後生活における主な収入源は公的年金という方が多いでしょう。
いまのシニアは実際に年金をどのくらい受け取っているのでしょうか。
厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に見ていきましょう。
2.1 厚生年金の平均月額はいくら?
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金の金額を含む
厚生年金:受給額ごとの人数
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
厚生年金は国民年金に上乗せして加入する年金です。
厚生年金は現役時代の年金加入期間と年収により決定するため、実際には個人差が出ます。
また、自営業や専業主婦(主夫)などは厚生年金に加入していないため、国民年金のみとなります。国民年金の金額も確認しておきましょう。
2.2 国民年金の平均月額はいくら?
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
国民年金:受給額ごとの人数
- 1万円未満:6万5660人
- 1万円以上~2万円未満:27万4330人
- 2万円以上~3万円未満:88万1065人
- 3万円以上~4万円未満:266万1520人
- 4万円以上~5万円未満:465万5774人
- 5万円以上~6万円未満:824万6178人
- 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
- 7万円以上~:178万3609人
国民年金の平均月額は5万円台。2024年度の国民年金の満額受給額は月額6万8000円です。
20歳~60歳未満の40年間、未納なく全ての保険料を納めた場合に満額を受け取ることができますが、決して十分とはいえない金額です。
なお、ご自身の老後の年金見込額は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認できます。
ここまでシニアの貯蓄や収入について見てきましたが、老後に必要な支出についてもチェックしていきましょう。