今なお揺れ動く、政策正常化。日本銀行は2024年春闘の動向を注視していたといいます。
結果的には、金融政策決定会合で利上げへの踏み切りを後押しする内容で、環境が整ったとの見方が出ています。
2024年4月18日、連合は2024年春季労使交渉(春闘)における回答の第4回集計結果を公表。
月例賃金改善(定昇維持含む)を要求した4384組合中3129組合が「妥結済み」であり、そのうち賃金改善分を獲得した組合は2026組合(64.7%)。過去の最終集計と比べると、極めて高い水準での着地となりました。
今回は、2024年春闘の結果と現代の給与事情を深堀りしていきます。記事の後半では、正社員と非正規雇用の平均給与の差を統計から確認していきましょう。
※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
1. 2024年春闘の第4回集計結果:賃上げ率は平均5.2%をマーク
連合が4月18日に発表した2024年春闘の第4回集計結果によると、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせた賃上げ率が平均で5.20%をマークしました。
第3回集計結果で提示された数字からはやや下方修正されましたが、前年同時期比では1.51ポイント上昇。依然、高い水準を維持しています。中小組合が健闘しているという。
賃上げ率は1991年の5.66%(最終集計)以来33年ぶりの高水準。高い賃上げ率が維持されていることは、物価高による賃上げへの期待が高まった点と、企業が人材を確保したい企業の思惑も重なった結果だとする見方もできるでしょう。
さて、時系列でみると給与や賃金は伸長しているといえますが、これにより生活面の余裕はできるのでしょうか。
次の章からは「実質賃金」の推移について詳しく見ていきましょう。
2. 30年ぶりの水準賃上げが実現! 実質賃金の伸び率は?
厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査(確報)」では、2023年12月の実質賃金はプラス0.8%という結果でした。
そもそも実質賃金とは、労働者の購買力を示す指標のこと。労働者が雇用主から受け取る賃金の金額そのものを指す「名目賃金」から、消費者物価指数に基づいた物価変動の影響を加味して算出されます。
そんな実質賃金の推移をみる限り、賃金は上がっていても物価高騰に追いつかない状況が続いています。
結果だけみると「賃金水準が物価高に追いつかず、家計が圧迫されている」という状態だといえるでしょう。
次の章からは、賃金や給与などについて「雇用形態別」に生じる給与差をみていきましょう。