5. 【新NISA】積立投資シミュレーション:退職までいくら貯められる?
退職金のほかにも老後資金を確保したい場合、新NISAを利用して積立投資を行う方法があります。
今回は元利合計で1000万円を達成するための運用期間と金額を、利回り別でシミュレーションしてみました。
5.1 「積立投資で1000万円」シミュレーション結果
【利回り(年率)1%】
10年:7万9271円
15年:5万5156円
20年:3万7656円
【利回り(年率)3%】
10年:7万1561円
15年:4万4058円
20年:3万460円
【利回り(年率)5%】
10年:6万4399円
15年:3万7413円
20年:2万4329円
運用益ゼロで30年かける場合、毎月約3万円の積立で1000万円を貯められるとわかります。しかし、年率1%で運用できたら毎月の積立額は約2万3000円です。
一方、年率5%で20年運用した場合にも、毎月の積立額は2万5000円以内となるようです。
毎月2万円から3万円の積立であれば、家計の見直しなどで資金を捻出できるのではないでしょうか。
つまり、1000万円の資産は、貯蓄に自信のない30歳代・40歳代の人でも、退職やリタイアまで時間の少なめな50歳代の人でも、手が届く目標だといえるでしょう。
ただし、NISAの運用は預貯金のように将来の成果を約束されていません。
上手くいけば想定以上のリターンを得られるかもしれませんが、反対に損をする可能性もあります。あくまでも、この金額は目安だと理解しておきましょう。
6. まとめにかえて
公務員の平均退職手当は「2000万円以上」でしたが、実際に受け取れる金額はキャリアに応じて大きく異なります。
そのため、退職金だけに頼るのではなく、新NISAなどを利用して資産形成を行うことも1つの選択肢です。退職金だけでは将来が不安だと思うならば、年金のプラスアルファで考えることは必要なことだと思います。
しかし、新NISAで購入できる金融商品は、銀行預金のように元本が保証されるものではありません。したがって、新NISAを利用する場合は投資のリスクについて理解し、リスク管理を徹底する必要があります。
特に、短期的な利益を狙って一括投資を行う場合、価格変動によるリスクが高くなってしまいます。新NISAは長期の資産形成を目的とした制度。なるべく長期的な視点で投資を行いましょう。
少ない資金からでも開始可能である投資信託を始めてみて、老後資金形成の勉強を始めてみるのもいいかもしれません。
参考資料
- GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「2023年度の運用状況」
- 金融庁「資産運用シミュレーション」
- 内閣官房「退職手当の支給状況」
- 人事院事務総局「令和5年 退職公務員生活状況調査報告書」
- 総務省「令和4年 地方公務員給与の実態」
足立 祐一