2018年4月11日に行われた、イオン九州株式会社2018年2月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:イオン九州株式会社 取締役 常務執行役員 SC開発本部長 伊藤文博 氏
2018年2月期決算説明会
伊藤文博氏:あらためまして、イオン九州の伊藤でございます。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。
それではただいまより、当社の2018年2月期の経営成績と概要、ならびに2019年2月期の取り組みについてご説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、当社の決算についてご説明する前に、すでにご理解いただいているとは思いますが、当社と九州地域の旧ダイエー店舗を承継したイオンストア九州との関係については、ご案内のとおりでございます。
イオン九州はイオンストア九州店舗運営の業務について、業務受託に関する契約を締結しております。従いまして、本日発表する営業収益や営業利益等に、イオンストア九州店舗の売上・利益等は含まれておりませんことを、まずご承知いただきたいと思います。
1.決算概要(Financial Highlights)
それでは、2018年2月期の経営成績についてご説明いたします。
当期の経営成績につきましては、営業収益が2,320億7,600万円、営業利益が8億7,400万円、経常利益が13億7,700万円、当期純利益が1億100万円となりました。
前期と比較すると、営業利益・経常利益は増益となりました。経常利益は、昨年(2017年)4月に発表いたしました公表数値に対して、計画比125パーセントとなっております。
当期純利益は、前期に固定資産の譲渡益を計上したことなどもあり減益となりましたが、公表数値は確保いたしました。
直近5年間の業績を並べてみますと、消費税率が5パーセントから8パーセントに引き上げられた2015年2月期につきましては、増税後の対応がうまくいかなかったこともあり、業績としては非常に厳しい状況にありました。
そこでまず、既存事業の利益回復を最優先課題として、GMSはGMSらしく、ホームセンターはホームセンターらしく、地域でもっとも信頼される企業店舗を目指すという方向性のもと、構造改革を進めてきた結果、利益面は順調に回復してきております。
利益面の回復についてですが、あるべき品揃えを再構築する中で、売上総利益率が2000年のジャスダック上場以来過去最高となったことが、営業利益回復の最大の要因になっております。
2.売上高の状況(Sales Breakdown)
セグメント別の売上状況でございます。
2017年3月より、衣料品・食料品・住居余暇商品における商品分類の見直しを実施したため、総合小売事業の部門別実績につきましては、前年との単純比較ができない状況でございます。そのため、参考値として社内管理上の部門別数値を、既存比に表示しております。
総合小売事業の売上面は、衣料品・住居余暇商品はほぼ前年並みとなったものの、相場変動などの影響を受け、食料品については前年割れになりました。ただし、時系列で見ますと、食料品の売上高も下期は回復してきております。
ホームセンター事業につきましては、前年の震災復旧需要の影響もあり、前年割れとなりました。
貸借対照表
貸借対照表については、ご覧のとおりでございます。
当事業年度の資産は963億7,600万円となり、前事業年度に比べ22億8,200万円減少いたしました。内訳といたしましては、流動資産で4億9,300万円・固定資産で17億8,900万円、それぞれ減少したためであります。
流動資産の減少は、商品・貯蔵品が4億3,500万円減少したことが、おもな要因です。商品の減少については、衣料品・住居余暇商品・ホームセンター商品の在庫適正化に向けた取り組みの成果が出てきております。
有利子負債につきましては、前期末より5億3,300万円減少いたしました。
当期の営業利益の前年差異を半期別に見てみますと、上期は前期の震災需要などもあり、営業利益が前年から大きくマイナスしたものの、下期については前年同期に比べ、4億円の増益となりました。
下期の増益のおもな要因は、客数回復に向けて政策として取り組んだ、1点単価の引き下げ施策やセールスの強化により、売上総利益の前年差が上期に比べ0.1ポイント減少したものの、売上高既存比が99.7パーセントと、回復してきたことによるものであります。
(6)既存店前期比月別推移(GMS・SuC)
ご覧のスライドは、総合小売事業の既存店売上高を月別に見たものです。
とくに震災需要が大きかった熊本地区の5店舗を除いた既存店売上高は、天候不順等の影響はあるものの、不振だった上期から、下期は回復傾向にあります。
とくに第3四半期においては、食料品の1点単価引き下げ施策や販売体制の強化・ブラックフライデーセールスなど、新たな販促施策の効果もあり、売上は好調に推移いたしました。
(2017年)12月以降の記録的寒波により、年明け以降の春物商材の売上に影響が出たことなどにより、(2018年)1月は前年割れとなりましたが、2月では前年並みに戻っております。
(5)既存店の客数・客単価・買上点数の前期比推移(GMS・SuC)
また、先ほど食料品売上高について、前年割れになったことをお話ししましたが、買上点数・客数の回復とともに売上高は回復傾向にあり、第4四半期については前年を上回っております。
既存店の収益力向上に向けて、地域店舗特性にあわせてより専門性を高めたイオンスタイル売場の導入を進めてまいりました。
2016年度にイオン熊本店、2017年度にイオン直方店に導入いたしました。新たに導入した商品・売場が全体を牽引するかたちとなり、2店舗平均のリニューアル以降の売上高は昨対5パーセント、客数も昨対105パーセントと、大きく伸長しております。
そして、これらの店舗における各売場の成功事例を、その他店舗のリニューアルに水平展開する取り組みを進めてまいりました。
また、店舗運営業務を受託しているイオンストア九州の店舗についても、2016年度にイオン笹丘店をイオンスタイル笹丘として全面リニューアルを実施しており、こちらも売上高・客数ともに、大きく伸長しております。
お客さまが必要とされる商品やサービスをお値打ち価格でご提供し続けるために、食料品を中心として1点単価の引き下げを政策として実施してまいりました。
トップバリュ商品におきましても、品揃えを拡充するとともに、毎日の生活に必要な商品を厳選して値下げを実施して、食料品におけるトップバリュ売上高は、下期には前年を上回りました。
物販だけではなく、GMSの強みとして、ハロウィンやクリスマスといった社会行事に関連したイベントや、四半期に1回実施している「九州大感謝祭」における、地域と連動したイベントを実施いたしました。昨年(2017年)11月の「ブラックフライデー」セールについても、今年はさらに企画内容を強化し、取り組みを行いました。
また、2017年度より、「LINE@」を活用した店舗からの情報発信の取り組みを開始して、チラシ紙面上だけでなく、タイムリーな店舗情報の発信ができるツールとして、導入店舗を拡大してまいりました。
ホームセンター事業では、ガーデニングの専門性を高めるため、九州の有名ガーデンセンターとの取り組みを実施し、希少性の高い植物の品揃えを強化するとともに、販売する従業員の技術力・販売力向上に努めました。
また、国内のみならず、中国で開催される展示会等を通じて、お取引先さまと共同で商品開発を行っており、当期においては約700点の新たな商品を品揃えいたしました。ワイドマートドラッグ&フード店舗においては、地域にお住まいのお客さまの利便性向上のため、生鮮品を中心に時間短縮・個食を意識した食料品の品揃えを充実させました。
サイクル事業においては、GMS店舗のサイクル売場に専門性の高い品揃えや、接客・サービスを導入することを目的として、GMSの売場内にイオンバイクを7店舗開店いたしました。
食品の安全性を確保するための取り組みとして、導入間近となっているHACCP認証の取得についても進めています。昨年(2017年)11月にはイオン大村店が、九州の小売業として初のHACCP認証となる「ながさきHACCP」の認証を(受けました)。12月にはイオンストア九州のイオン熊本中央店が、「熊本市版HACCP」の認証を受けました。
また、日本政策投資銀行の評価認証型融資において、「DBJ環境格付」は5年連続最高ランクの認定を取得。「DBJ健康経営格付」は、九州の小売業として初めての最高ランクの認定を取得。昨年2月に取得した「DBJ BCM格付」と併せて、DBJ評価認証型融資のすべての評価を取得いたしました。
2019年2月期の主な取り組み
それでは、2019年2月期(2018年度)のおもな取り組みについて、ご説明いたします。2017年度は客数回復に向けて、品揃えの見直しや夕刻の販売の強化など、基本の徹底により、先ほどご説明いたしましたとおり、下期の食品の売上高・客数が回復傾向となりました。
2018年度については、増収への転換を果たすべく、さまざまな取り組みをさらにブラッシュアップし、あらためて客数にこだわってまいります。
2017年度にリニューアルした直方店では、ナチュラル&オーガニックコスメ、ウェルネスフーズなど、お客さまの関心が高い美と健康に関わる売場を拡大し、「ピックアップステーション」という名前で、コーナー展開いたしました。リニューアル後の売上は好調に推移しており、今後のリニューアルにおいても、店舗特性に合わせて導入してまいります。
また、昨年よりホームファッション売場において、イオンの新たなブランドである「HOME COORDY」商品の導入を進めています。こちらについても、地域特性や店舗特性をふまえ、今後のリニューアルにおいて、暮らしをコーディネートできる売場づくりを進めてまいります。既存店の収益力向上に向けて、2018年度投資予定金額の約半分を、既存店のリニューアルに充ててまいります。
先ほどご紹介した新たな商品売場の導入も含め、2016年度のイオン熊本・イオンスタイル笹丘、2017年度のイオン直方店など、大型リニューアルでの成果を踏まえ、2018年度は3月にイオン宮崎店・イオン延岡店の大規模リニューアルを実施するなど、新たな商品売場の導入・サービス面の拡充を推し進めてまいります。
日常商品に対する、お客さまの節約意識の高まりへの対応として、リニューアルしたベストプライス商品の品揃えを拡充してまいります。(スクリーンを指して)こちらのスライドは、先月の「九州大感謝祭」において店舗で実施した、「食べくらべ試食会&販売会」の様子です。リアル店舗の強みとして、お客さまに実際においしさを実感していただく、このような取り組みを進めてまいります。また、地域に対応した、トップバリュ商品の開発も進めてまいります。
今年2月より試験的に運用を開始した「イオン九州公式アプリ」を、3月1日に本格的にスタートいたしました。このアプリは、イオンカード・電子マネーは「WAON POINTカード」をお持ちの方であれば、どなたでもご利用いただけるアプリであります。
お気に入りの店舗のチラシ・特売情報をご覧いただけるほか、来店時にチェックインすることで、WAONポイントが2ポイントたまる来店チェックイン機能や、アプリ内のガチャを回してクーポンを受け取れる機能を持っています。
3月末現在で、アプリの会員数はすでに5万人を超えており、順調に会員数を増やしています。将来的には、九州7県の人口の約1割(の会員数)という数値を目標に、取り組みを拡大してまいります。そして、将来的には、このようなデジタル活動で得られた社内データを、地域情報などの社外情報を組み合わせたビッグデータ・AI活用による分析……「顧客から個客」へ、最適な情報発信型のアプローチにつなげてまいります。
また、増加しているインバウンドへの対応についてですが、福岡だけでなく、九州各店の店舗で免税の売上は伸長しています。今年2月には、中国で延べ11億人に利用されているモバイル決済システム「Alipay」や「WeChat Pay」、店舗売上業務を受託しているイオンストア九州店舗と併せて18店舗に導入し、さらなる利便性向上を行ってまいります。
直近の話題としては、地元・九州をもっと元気にしていこうということで、今年3月に地元球団である、福岡ソフトバンクホークスのデニス・サファテ選手と、「九州を元気にするパートナー契約」を締結いたしました。今後、毎月10日の開催の「お10くデー(おとくデー)」や毎月20日・30日の「お客さま感謝デー」のCMやその他活動を通じて、九州のみなさまにさらなる元気をお届けするイオン九州の顔として、ご活躍いただく予定でございます。
「現場力」をさらに高めるため、店舗後方業務の抜本的な業務改革を推進し、システム化による作業効率改善に努めてまいります。また、現在取り組んでいますダイバーシティ経営や健康経営の推進により、働き方改革を推し進め、ワークライフバランスを実現してまいります。また、専門性の高い売場を導入・拡大するために、人財の育成にも積極的に取り組んでまいります。
2019年2月期業績予想
最後に、2019年2月期の業績予想でございます。
営業収益を2,330億円、営業利益を10億円、経常利益を11億円、当期純利益を2億円と設定いたしました。これまでご説明した内容を着実に推し進め、公表数値の達成に向けて、全社を挙げて取り組んでまいります。
以上で、イオン九州の2018年2月期の決算発表を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。