5. 定年後に増える出費もある?減る出費と一緒に確認
定年退職後は生活費が減ると考える方も多いですが、意識しないとなかなか減らせません。
事前に減る出費・増える出費を押さえておきましょう。
公益社団法人生命保険文化センターは、定年後に「増える支出」と「減る支出」について下記のとおりまとめています。
5.1 定年後に増える出費の例
- 近所づきあいの交際費
- 趣味や生きがいのための費用
- 妻の国民年金保険料(妻が60歳になるまで)
- 国民健康保険料※
5.2 定年後に減る出費の例
- 住宅ローン(完済する場合)
- 会社員としての交際費・食費
- スーツ、ワイシャツ、ネクタイなどビジネス被服代
- 子供の教育・扶養費用(成人・独立の場合)
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料
- 健康保険料※
あくまでも一例ですが、セカンドライフのスタートともに増える出費があることがわかります。
※記事内では単身世帯の貯蓄額を紹介しましたが、もし配偶者や子どもがいる場合、健康保険は扶養に入れる可能性もあります。この場合、国民健康保険料は負担する必要がないでしょう。
賃貸住まいの場合、住宅ローンの完済がないので今後も住宅費がかかりつづけます。ライフプランによっては、老人ホームへの入居費用等も視野に入れることがあるでしょう。
上記を例として、「私の場合」でシミュレーションを行うことが重要になります。もちろん、定期的な収入源となる公的年金の見込額も、定年退職前にかならず確認しておきましょう。
6. まとめにかえて
60歳代単身世帯の「貯蓄100万円未満の割合」と平均・中央値を確認してきました。
経済的なゆとりがないと感じる世帯も多い中、現役時代から計画的に準備を進めることが重要であるといえます。
何も準備を始めていないという方は、まずは年金見込み額を知り、定年退職後に増える出費・減る出費を考えながらシミュレーションしてみましょう。
不足する分を確実に貯蓄を貯めていくには、毎月の給料や収入から一定額を先に貯蓄し、残りのお金で生活していく「先取り貯金」が効果的です。
預貯金だけでなく、2024年にスタートした新NISAで積立を行うのもひとつですね。
これを機に、それぞれの世帯に合った貯蓄方法について考えてみてはいかがでしょうか。
6.1 【ご参考】60歳代単身世帯の貯蓄額一覧表(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:33.3%
- 100万円未満:8.5%
- 100~200万円未満:4.7%
- 200~300万円未満:2.8%
- 300~400万円未満:4.3%
- 400~500万円未満:2.4%
- 500~700万円未満:3.5%
- 700~1000万円未満:2.8%
- 1000~1500万円未満:6.6%
- 1500~2000万円未満:4.5%
- 2000~3000万円未満:8.0%
- 3000万円以上:15.1%
- 平均:1468万円
- 中央値:210万円
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 金融庁「NISAを知る」
- 株式会社マイナビ「マイナビ、「ミドルシニア/シニア層のアルバイト調査(2024年)」を発表」
- 公益社団法人生命保険文化センター「セカンドライフの生活費は現役時代とどう違う?」
太田 彩子