近年、物価上昇のニュースを耳にする機会が増えてきています。
2024年4月12日、日銀が発表した「生活意識に関するアンケート調査」によると、前年比で物価が上がったと回答している割合は95.5%となっており、物価上昇を実感している方も多いのではないでしょうか。
政府は賃金上昇が物価上昇に追い付いていない現状について「デフレ完全脱却のための総合経済対策」として低所得世帯への給付金施策を発表しています。
このような状況下であるいま、現金給付は貴重な支援といえるでしょう。
そこで今回は、住民税の仕組みと低所得者向け給付金の対象である「住民税非課税世帯」の要件などを確認していきましょう。記事の後半では、住民税非課税世帯に対する優遇措置をチェックしていきます。
1. そもそも「住民税」ってどんな仕組み?
そもそも住民税は、公共施設や学校教育の運営費、上下水道やごみ処理といった行政サービスなど、各地域で必要となる費用を分担するための税制度です。
住民税には都道府県民税と市町村民税がありますが、納税する際には一括して各市町村に住民税を納め、その後、各市町村によって都道府県あてに道府県民税が払い込まれる形です。
また、住民税の仕組み上、所得額に応じて負担する「所得割」、誰もが等しく負担する「均等割」の2つに区分されます。
均等割は、個人住民税は「地域社会の会費的なものである」として負担を求めるとしたもので、一般的な税額は5000円(道府県民税1500円、市町村民税3500円)とされています。
ちなみに、東日本大震災の復興財源などを確保するため、2014年度から2023年度までの10年間、都道府県民税・市町村民税ともに500円ずつ引き上げられています。
一方、所得割の税率は市町村民税6%、都道府県民税4%の合計10%と一律です。
ただし、政令指定都市は道府県民税が2%、市民税が8%になるなど、自治体ごとで税率が異なる場合があります。
2. 「住民税非課税世帯」とはどんな世帯?
「住民税非課税世帯」とは、一定額以下の収入などを理由として、都道府県民税と市区町村民税の合計で成り立つ住民税が課税されない世帯のこと。
これは世帯員のうち誰か一人が住民税(所得割・均等割)を支払わないのではなく、世帯員すべてが住民税を支払わない世帯を指します。
住民税は、その年1月1日時点で市町村(都道府県)に住所がある人に対して課税されます。
ただし、低所得者層の負担を考慮し、一定の事由に該当する世帯については税負担を求めることが適当ではないとして課税対象から外れます。その際、養っている家族(扶養家族)の有無や人数、所得金額などが考慮されるのです。
どのような世帯が該当するのか、要件や所得目安などを確認してみましょう。
3. 住民税非課税世帯の要件:所得目安はいくら?
東京都主税局によると、東京都23区の住民税の非課税条件は下記のようにまとめられています。
- 生活保護法による生活扶助を受けている
- 未成年者、寡婦、ひとり親、障がい者のいずれかで前年の合計所得が135万円以下(給与収入になおすと、年収204万4000円未満)
- 前年の合計所得や総所得が市区町村の条例で定められた額以下である
また、所得目安は次のとおりです。
- 同一生計の配偶者または扶養親族がいる場合
合計所得金額が35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下 - 同一生計の配偶者及び扶養親族がいない場合
合計所得金額が45万円以下(給与所得者であれば、年収100万円以下)
なお、住民税非課税になる年収目安は、市区町村ごとに決められた生活保護基準の級地区分や、扶養家族、年齢などの影響を受けます。
詳しい内容については、お住まいの自治体で確認してみてください。
住民税非課税世帯には、住民税の支払い免除以外にも優遇措置があります。次章にてくわしくみていきましょう。