3. 【高齢者の住まいの悩み】減築に興味がある人は4割以上

国土交通省が2011年3月に公表した「減築による地域性を継承した住宅・住環境の整備に関する研究」によれば、減築に関する興味の有無を尋ねたところ、回答者の41.8%の方が減築に興味があると答えています。(現在は興味がないが検討の余地があると答えた方を含む)

  • 興味がある:3.5%
  • やや興味がある:9.5%
  • 現在は興味はないが、検討の余地がある:28.8%
  • 興味はなく、将来もあまり考えられない:50.1%
  • わからない:8.1%
  • 合計:100.0%


また減築に興味のある人の世帯主の年齢では、60~69歳が30.7%で最も多く、次いで50~59歳(27.0%)、70歳以上(18.4%)となっています。

一方では減築に興味がない人の割合も60~69歳が36.4%で最も多く、次いで70歳以上(22.4%)、50~59歳(20.7%)となっていますが、これは高齢や低収入であることが減築に対する興味を低減させているためとしています。

4. 減築工事の予算の考え方

減築にかかる費用は工事内容や施工規模、建物の構造、立地条件等により異なりますが、一般的には施工面積1㎡あたり10~20万円程度が目安といわれています。

したがって5坪(約16.5㎡)の減築であれば、165~330万円程度になります。

ただし2階部分の減築の場合には、足場の設置費用や減築した部分の屋根工事が必要になるので、一般的には1階部分の減築よりも費用が高額になります。

その他ひと口に減築と言っても減築のパターンはさまざまで、1階または2階の一部のみを解体する場合もあれば、1階と2階の一部を同時に解体したり、2階を全て解体して平屋にしたりすることもあります。

高齢者が住む住宅の場合には、平屋にするパターンが比較的多いといえます。

さらに建物の一部を解体するだけでなく、残った部分の間取り変更をしたり耐震補強や断熱改修などを行なったりすることもあるので、建て替えを行うのと同程度の費用がかかってしまうこともあります。

減築工事を行う際には必ず複数の業者から見積もりをとって、事前に各社の見積書の内容を比較することが大切です。

5. まとめにかえて

子供が独立した人などにとって、減築は長く快適に住み続ける上で非常に有効な手段だといえます。

また減築して2階建てを平屋建てにすると共に、1階部分のバリアフリー化を図ったり、耐震改修や断熱改修を行なったりすることで、高齢期の身体機能やライフスタイルに合った住まいにリフォームすることが可能になります。

今後は建物のコンパクト化(減築)が果たす役割が、社会的にも非常に重要になるといえるでしょう。

参考資料

亀田 融