新年度を迎え、お金の相談件数も増えてきました。

筆者が日々お客様から資産運用の相談を受けるなかで、老後のイメージをお伺いすると大きく2つに分かれます。

それが、65歳以降の老後をゆっくり過ごしたい方、身体が動くうちはしっかり働きたい方の2つ。「人生100年時代」といわれる現在では、長く働きたい方も多い印象です。

実際総務省の統計局によると日本での高齢者の就業者数は、19年連続で増加し912万人と過去最高となっています。

リタイア後に働くかどうかは家庭の事情によるかと思いますが、自分と同世代である65歳以上の経済事情については気になるところ。

今回は65歳以上「無職の夫婦世帯」にターゲットを絞って、お金事情を確認できればと思います。記事後半では、厚生年金と国民年金の平均受給額についても詳しくみていきましょう。

1. 【貯蓄額】65歳以上世帯の平均は「2414万円」

まず、65歳以上世帯における貯蓄額を見ていきます。

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、65歳以上世帯のうち「二人以上世帯」の貯蓄額平均は2414万円であることがわかっています。

2414万円と聞くと、一時期話題となった「老後2000万円問題」をクリアできているように思えます。

しかし、実は平均と中央値で乖離しているのが実情です。

  • 貯蓄平均値:2414万円
  • 貯蓄中央値:1677万円

つまり一部の富裕層の世帯が、平均値を引き上げていると考えられるのです。

内訳を見ると、貯蓄額2000万円を超える世帯が全体の42.5%を占めている一方で、貯蓄額1000万円に満たないシニア世帯は約36%。100万円未満の世帯は7.8%となりました。

同じ貯蓄額であっても、世帯の事情によって「安心できる・できない」という印象は異なると思います。

例えば持ち家で子どもも独立しており、十分な年金がもらえる世帯では貯蓄1000万円でも安心かもしれませんね。

しかし、年金が月に10万円程度しかもらえない世帯が賃貸住宅に住むという場合はどうでしょう。毎月の取り崩し額は非常に大きくなるため、その分の貯蓄が必要になります。

では、子世帯が親の援助をするケースは多いのでしょうか。次の章からは「親への仕送り」の実態をみていきましょう。

2. 「親への仕送り」実施する世帯の平均額はいくら?

厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」によると、 親へ仕送りしている世帯の現状は次のとおりです。

  • 総数:104万7000世帯
  • 2万円未満:12万8000世帯
  • 2~4万円:31万3000世帯
  • 4~6万円:21万4000世帯
  • 6~8万円:6万6000世帯
  • 8~10万円:4万2000世帯
  • 10万円以上:19万7000世帯
  • 不詳:8万8000世帯
  • 1世帯当たり平均仕送り額:5万6000円

1世帯当たり平均仕送り額は5万6000円。10万円以上という世帯も19万7000世帯で、全体の18.8%となりました。

とはいえ、子世帯に援助を頼みにくいという方も多いでしょう。

次章では、平均的な年金額について確認します。厚生年金や国民年金はいくら受給されているのでしょうか。