2024年3月29日に帝国データバンクが発表した「定期調査:「食品主要195社」価格改定動向調査―2024 年4月」によると、同4月以降、ハムやソーセージ、冷凍食品などの加工食品を中心に合計2806品目が値上げになることが明らかになりました。
前年に比べて人件費や物流費の増加、円安水準が長期化していることなどが主な要因と考えられます。
一方、2024年度の公的年金は前年度から2.7%増額となります。
しかし、2023年の物価変動率は+3.2%と公的年金の増額率を上回るため実質的には目減り。加えて、本日からの値上げラッシュです。年金額アップを実感することなどできるのでしょうか。
本記事では2023年12月に厚生労働省から公表された「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、最新の厚生年金と国民年金の受給額を確認します。
いまのシニア世代の年金事情を眺めながら、老後への備えについて考えていきましょう。
1. 日本の公的年金制度「国民年金・厚生年金」は2階建て。その仕組とは?
まずは公的年金の仕組みをおさらいしておきましょう。
日本の公的年金制度は、下図のとおり「2階建て」となっています。
1.1 国民年金(1階部分:基礎年金)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律(年度ごとに見直しあり)
- 納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる
1.2 厚生年金(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが国民年金の上乗せする形で加入する
- 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる
上記のとおり、原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が国民年金に加入し、公務員や会社員など要件を満たす人は国民年金に上乗せする形で厚生年金にも加入します。
老後に受給する年金額は、国民年金のみか、厚生年金に加入していたかによって、大きく異なると理解しておきましょう。
2. 2024年度の年金額は2.7%増額改定へ
厚生労働省によると、2024年度の年金額例は下記のとおりです。
- 国民年金(老齢基礎年金):6万8000円(1人分※)
- 厚生年金:23万483円(夫婦2人分)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万7808円(対前年度比+1758円)
国民年金は満額受給を想定した1人分の額例となっており、40年間未納なく保険料を納めていた場合は6万8000円を受け取れます。
一方で厚生年金は、夫婦2人分の額であり、国民年金を含む標準的な年金額となっています。
厚生年金の「モデル夫婦(標準的な年金額)」の内訳は下記のとおりです。
- 夫:平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円で40年間就業した場合の厚生年金+国民年金を満額受給
- 妻:国民年金を満額受給
つまり、夫が40年間会社員として43万9000円を稼いでおり、妻が40年間専業主婦(もしくは自営業)である場合、2人分の年金として23万483円を受け取れます。
昨年度と比較すると、国民年金・厚生年金ともに年金額が増額しており、2.7%の引き上げとなります。
しかし、冒頭で申し上げたとおり、増額率を上回る物価上昇によって実質的には目減りとなるため、増額だからといって手放しで喜べるものではありません。
※2024年4月15日(月)に支給される年金は2月分・3月分です。2024年度増額改定分の初回支給日は2024年6月14日(金)となります。
3. 【年金一覧表】60歳~90歳以上「国民年金」の平均年金月額はいくら?
厚生労働省年金局が公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2022年度末の国民年金の平均月額は、以下のとおりです。
3.1 国民年金の平均月額(60歳~69歳)
- 60歳:国民年金4万2616円
- 61歳:国民年金4万420円
- 62歳:国民年金4万2513円
- 63歳:国民年金4万3711円
- 64歳:国民年金4万4352円
- 65歳:国民年金5万8070円
- 66歳:国民年金5万8012円
- 67歳:国民年金5万7924円
- 68歳:国民年金5万7722円
- 69歳:国民年金5万7515円
3.2 国民年金の平均月額(70歳~79歳)
- 70歳:国民年金5万7320円
- 71歳:国民年金5万7294円
- 72歳:国民年金5万7092円
- 73歳:国民年金5万6945円
- 74歳:国民年金5万6852円
- 75歳:国民年金5万6659円
- 76歳:国民年金5万6453円
- 77歳:国民年金5万6017円
- 78歳:国民年金5万5981円
- 79歳:国民年金5万5652円
3.3 国民年金の平均月額(80歳~89歳)
- 80歳:国民年金5万5413円
- 81歳:国民年金5万5283円
- 82歳:国民年金5万7003円
- 83歳:国民年金5万6779円
- 84歳:国民年金5万6605円
- 85歳:国民年金5万6609円
- 86歳:国民年金5万6179円
- 87歳:国民年金5万6030円
- 88歳:国民年金5万5763円
- 89歳:国民年金5万5312円
3.4 国民年金の平均月額(90歳以上)
- 90歳以上:国民年金5万1974円
※65歳未満の国民年金の受給権者は、繰上げ支給を選択した者
国民年金の平均月額は5万円台となりました。
夫婦ともに国民年金のみの場合、世帯の年金収入は月額約11万円です。
生活水準は世帯ごとに異なるものですが、年金だけで老後生活をやりくりするのは難しそうです。
では、仕組み上、国民年金より手厚いと考えられる厚生年金の平均年金月額はどれくらいあるのでしょうか。
国民年金と同様、年齢別の平均月額一覧表で確認していきます。
4. 【年金一覧表】60歳~90歳以上「厚生年金」の平均年金月額はいくら?
先ほどと同じ資料で厚生年金の平均年金月額も見ていきましょう。
なお、以下の厚生年金はすべて国民年金部分を含みます。
4.1 厚生年金の平均月額(60歳~69歳)
- 60歳:厚生年金9万4853円
- 61歳:厚生年金9万1675円
- 62歳:厚生年金6万1942円
- 63歳:厚生年金6万4514円
- 64歳:厚生年金7万9536円
- 65歳:厚生年金14万3504円
- 66歳:厚生年金14万6891円
- 67歳:厚生年金14万5757円
- 68歳:厚生年金14万3898円
- 69歳:厚生年金14万1881円
4.2 厚生年金の平均月額(70歳~79歳)
- 70歳:厚生年金14万1350円
- 71歳:厚生年金14万212円
- 72歳:厚生年金14万2013円
- 73歳:厚生年金14万5203円
- 74歳:厚生年金14万4865円
- 75歳:厚生年金14万4523円
- 76歳:厚生年金14万4407円
- 77歳:厚生年金14万6518円
- 78歳:厚生年金14万7166円
- 79歳:厚生年金14万8877円
4.3 厚生年金の平均月額(80歳~89歳)
- 80歳:厚生年金15万1109円
- 81歳:厚生年金15万3337円
- 82歳:厚生年金15万5885円
- 83歳:厚生年金15万7324円
- 84歳:厚生年金15万8939円
- 85歳:厚生年金15万9289円
- 86歳:厚生年金15万9900円
- 87歳:厚生年金16万732円
- 88歳:厚生年金16万535円
- 89歳:厚生年金15万9453円
4.4 厚生年金の平均月額(90歳以上)
- 90歳以上:厚生年金15万8753円
※65歳未満の厚生年金保険(第1号)の受給権者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、主に定額部分のない、報酬比例部分のみの者
厚生年金は、年齢により若干異なりますが14万円~16万円程度が平均となります。
5. 国民年金・厚生年金の全体の平均月額はいくらか
先ほど年齢別の平均年金月額をみましたが、全体の平均年金月額も確認しましょう。
5.1 国民年金(老齢基礎年金)の受給額
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
国民年金の平均月額は5万円台で男女差はありませんでした。
5.2 厚生年金の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
全体では月14万円台となりましたが、男女別に見ると約6万円の差があります。
これは女性の方が男性に比べて賃金が低いこと、育児や介護などライフイベントで働き方が変わりやすいことなどが理由と考えられます。
6. 老後生活を支える柱を増やす工夫をしよう
本記事では、国民年金と厚生年金の平均年金月額を確認してきました。
しかし、年金額は個人で異なるものです。
そのため、ご自身の見込年金受給額を「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認して、老後の家計収支を想定しておく必要があります。
公的年金は老後生活における「柱」の1つではありますが、年金収入だけでやりくりできる世帯はそう多くないでしょう。
公的年金だけで足りない場合には、貯蓄や私的年金などで「柱」を2本、3本…と増やす工夫をしていく必要があります。
今回の統計を参考に、ご自身に合った老後資金計画を考えてみてください。











