2023年10月23日、岸田文雄首相は国会の所信表明演説にて「国民の努力によってもたらされた税の増収分を公正かつ適性に還元する」と発言。
賃金上昇が物価高に追いつかない現状における、国民負担を緩和する必要があるという認識を示しました。なかなか物価上昇が収まらず、公的年金だけで生活できるシニア世帯は多くないことが予測されます。
そうした中で、たびたび話題となるのが「給付金」。こうした給付金の対象となるのが「住民税非課税世帯」です。非課税世帯に高齢者が多いというのは本当なのでしょうか。
今回は「住民税非課税世帯」の要件について解説していきます。記事の後半では、年代別の住民税非課税世帯の割合やシニア世帯の貯蓄状況についてチェックしていきましょう。
1. 「住民税非課税世帯」とは?
「住民税非課税」とは、その名の通り「住民税が課税されていない」状態をさします。
住民税は前年の所得をもとに決定されるため、「今は稼いでいても昨年は無職だった方」「収入は低いが資産は多い方」が該当することもあります。
生計を一にする家族全員が住民税非課税である場合に、その世帯は「住民税非課税世帯」となります。
また、住民税は所得割と均等割から成りますが、どちらも課税されないときに住民税非課税となります。
一方、均等割のみ課税されている世帯にも「給付金」として10万円が支給されることになり、注目を集めています。
2. 住民税非課税になる年収の目安はいくら?
住民税非課税世帯になる条件は、自治体によって異なります。
ここでは参考までに、東京23区の「所得割」と「均等割」が非課税になる条件を見ていきましょう。
- (1) 生活保護法による生活扶助を受けている方
- (2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
- (3) 前年中の合計所得金額が下記の方
<同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合>
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
<同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合>
45万円以下
前年の合計所得金額が45万円以下であれば、扶養家族の有無にかかわらず非課税になるといえます。
ちなみに、ここで言う合計所得金額は、年収とは違います。所得はそれぞれの要因によって決まるため、一概に「年収いくら」とはいえません。
例えば東京都板橋区の場合では、次のとおり提示されています。
パートやアルバイトの給与収入(複数の勤務先があれば、その合計の金額)が、100万円以下(合計所得金額45万円以下)の場合、住民税は非課税です。
また、前年中に障害者控除・寡婦(ひとり親)控除・未成年の適用があった場合、給与収入が2,043,999円以下(合計所得135万円以下)であれば非課税です。
このように、住民税非課税になる年収は居住地や収入の種類、家族構成等複数の要素によって決まるため、くわしくは自治体のホームページや窓口などで確認してみてください。
それでは、年代別の住民税非課税世帯の割合はどうなっているのでしょうか。次の章から詳しくみていきましょう。