すでに社会人になっている人なら記憶に残っているかもしれません。採用面接の最後に面接官や人事部の担当者から「最後に質問はありますか?」と聞かれませんでしたか? 実はこれ、単なる形式的なものではありません。この質問にはそれまでの面接内容をすべてひっくり返してしまうほどの破壊力があるといいます。

人によっては「ここで採用担当者や面接官を感心させる質問ができれば、それまでの面接内容がいまひとつであっても挽回可能」だという人もいます。逆に、手ごたえのある面接だったにもかかわらず、最後の質問で台無しになることもあるというのです。

面接の最後で必要なのは、相手をうならせ、感心させる”キラー・クエスチョン”。では一体、どのような質問が効果的なのでしょうか。

「御社は“将来に向けて”どのようなポジションを目指すのでしょうか?」

「え、似たようなやりとりは面接中に終わっているんじゃないの?」、そう思う人もいるかもしれません。ところが、実際に話されている内容は、多くの場合、会社の現状や市場分析だったりするものです。

ですが、就活生ならその会社の将来を知りたいはずです。たとえ今は絶好調でも、その後に不振になり資金繰りがうまくいかなければ倒産してしまうこともありえます。20年前には想像もつかなかったことが起きる、それが現実です。たとえ社員でも将来に関して断言できることは少ないでしょう。

そう考えれば、将来の会社の姿に関しては採用側も学生も情報量にそれほど大きな違いがないという可能性もあります。その結果、この質問を受けた面接官も一緒に考え込んでしまうことがあるかもしれません。その会社が既に業界No.1であれば、どのようにしてそのポジションを維持していくのか、そうでないならば、今後どのように存在感を高めていくのかといった会話が展開されることでしょう。

実際のところ、この質問を最後にされて、すらすらと返せる面接官はそう多くないと思います。経営者でも悩みのポイントでしょうから、この質問をされたからといってムッとする人も少ないのではないでしょうか。むしろ話がざっくばらんになり、盛り上がることもあるといいます。学生が自分の意見やその企業が展開すべき戦略を論理的に話すことができればさらによいでしょう。

「御社の利益率を上げるためにはどうしたらよいでしょうか?」

先ほどの質問は将来の話ですから、回答もざっくりしたものになりがちです。しかし、この質問「利益率を上昇させる」に関しては、採用担当者が自分の勤める会社の生み出す付加価値をどのように理解しているかを知るためには絶好の質問です。

というのも、上場している会社の社員でも自社の利益率を知らないという人は意外と多いのです。そこで、こうしたことが採用担当者の頭に入っているかどうかを学生もチェックすることができます。また、この質問に答えるには、売上を構成する商品・サービスの内訳や、それぞれの利益率なども知っていなければなりません。

もしこの質問をきっかけに話を展開できれば、学生は会社に対してより理解が深まるでしょう。また、採用担当者としても、学生のビジネスマンとしての将来の資質を評価する材料になりえます。

ただし、こうした内容で実ある会話をするには、それ相応の知識や情報も必要ですから、やはり日頃からしっかりと新聞などで情報収集しておくべきでしょう。

「(面接官に対して)入社して一番達成感があった出来事を教えていただけますでしょうか」

学生は面接で「大学に入って成し遂げたことについて教えてください」と質問されますが、最後の質問で、これと同じ質問を採用担当者に聞いてみるのです。

もし、この質問に前向きに答えてくれる面接官なら話は大きく盛り上がるでしょう。また、よい話を聞くことができれば聞いた側の学生としても入社後をイメージしやすく今後が楽しみになると思います。

逆に、この質問に対する回答が貧弱だったり、イラッとした態度を見せる採用担当者や面接官であれば学生もそれまでの会社だなと割り切ってしまうことも考えられます。上から目線の聞き方にならないよう少々配慮が必要ですが、様々な展開を期待できる質問だといえます。

「(面接官に対して)あなたが今一番不安なことは何ですか?」

繰り出し方を間違えると面接の雰囲気が悪くなってしまう可能性もありますが、面接官といえども人間です。不安なことがない人はいません。会社や業界、ひいては個人的なことまで話題が及び、その一つ一つを丁寧に拾っていくことでお互いを分かり合うきっかけとなることもあるのだそうです。

もちろん「そういうあなたが今一番不安なことは?」と逆質問される可能性もあるので、前向きな回答や解決策があるという前提で、気になっている点を真摯に答える準備をしておいたほうがよいでしょう。

短い時間の中でどのように面接官にアピールできるかが、採用面接の勝負を分けるといっても過言ではありません。特に重要なポイントを占めるという「最後の質問」。準備はしっかりとしておきましょう。

――最後の質問、キラークエスチョンはその会社の経営者と同じ目線で考える――

LIMO編集部