3. 高校授業料無償化
高校の授業料支援は国による支援のほか、都道府県による支援があります。
都道府県による支援は国の支援の上乗せとなり、自治体ごとに異なります。
詳細は各自治体のHPでご確認ください。
ここでは、国による授業料支援をご紹介します。
「高等学校等就学支援金制度」は、国公私立問わず、高校に通う所得要件を満たす世帯の生徒に対して、国から授業料に充てるための資金が支給される制度です。
世帯年収の目安(※)として、910万円未満の世帯に、年間11万8800円が支給されます。
さらに、私立高校に通う590万円未満の世帯には加算があり、最大39万6000円が支給されます。
※両親・高校生・中学生の4人家族で、両親の一方が働いている場合の目安
所得基準は、親の働き方、子の数、子の年齢によって変わってきます。
所得基準に相当する年収の目安を表にしました。
国による就学支援金によって、公立の高校は授業料が無料になりますが、私立高校は授業料が学校ごとに異なり、また公立高校よりも授業料が高くなるため、国の支援だけでは不十分な場合があります。
そこで、多くの自治体では、所得基準を設けて支援の上乗せを行っています。
東京都では2024年度から所得制限を撤廃し、都内在住のすべての高校生の授業料が実質無料になります(最大47万5000円)。
4. 大学無償化
大学無償化は「高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)」のことを指します。
以下の2つの支援が受けられます。
- 授業料・入学金の免除または減額(授業料等減免)
- 給付型奨学金の支給
支援の対象となる所得基準は厳しく、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生が対象となります。
さらに資産要件もあります。
学生とその生計維持者が保有する資産(※)の合計額が、生計維持者が2人の場合は2000万円未満、1人の場合は1250万円未満に該当する必要があります。
※現金およびこれに準ずるもの、預貯金並びに有価証券の合計額(不動産は対象としない)
支援額の例は以下になります。
※授業料・入学金は上限になります。
※住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生への支援額は、上記の2/3または1/3になります。
2025年度から、少子化対策の一環として、3人以上の子どもを扶養する「多子世帯」を対象に、所得制限を設けずに、大学、短大、高専(4・5年生)、専門学校の授業料と入学金を無償化する方針が示されています。
今後の動向に注目しましょう。
5. 子育て支援の所得制限一覧表
最後に、子育て支援の所得制限を一覧表にしてみました。
その制度を利用する年齢の子どもが1人いる世帯(片働き世帯)の年収の目安です。
児童手当については、2024年10月から所得制限が撤廃されます。
高校授業料無償化は年収900~1000万円あたりが、支給が受けられる境目となっています。
大学無償化は住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯か多子世帯が対象となり、それ以外の学生には恩恵がありません。
今後は、少子化対策を推進する狙いから、所得制限などの支給要件が緩和される方向に進んでいくと思われます。
すべての学生が支援を受けられる制度を期待したいと思います。
参考資料
- こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
- 首相官邸ホームページ「令和5年6月13日 岸田内閣総理大臣記者会見」
- こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化」
- 文部科学省「高等学校等就学支援金制度」
- 文部科学省「私立高校授業料実質無償化リーフレット」
- 文部科学省「高等学校等就学支援金制度・年収目安」
- 東京都私学財団「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」
- 文部科学省「高等教育の修学支援新制度」
- 文部科学省「学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度」
- 内閣官房ホームページ「こども未来戦略会議(第8回)議事次第」
- 内閣官房ホームページ「こども未来戦略方針の具体化に向けた検討について」
- 日本学生支援機構「奨学金選択シミュレーション」
石倉 博子