厚生労働省によると令和4年時点の日本人の平均寿命は男性81.05年、女性87.09年となっており、昔に比べて平均寿命が延びている状況です。
それに伴って働く年齢が長くなり、年金受給のタイミングが引き上げられています。一昔前は60歳から受給するのが一般的でしたが、65歳での受給へ引き上げられました。
65歳からセカンドライフが始まるとすると、貯金や年金の水準はどれぐらいになっているのかイメージできますでしょうか。
4月15日には年金の支給日も控えていますが、年々目減りしていると捉えられている年金だけで、はたして生活できるのでしょうか。
本記事では65歳以上で無職の夫婦世帯に注目し、貯金や年金、支出の実態を見ていきたいと思います。
最後には65歳以上無職夫婦のリアルな家計収支を公開しているので、セカンドライフの生活を具体的にイメージしていただければと思います。
1. 【65歳以上で無職の夫婦世帯】貯蓄額の平均は?平均値と中央値に約1000万円の差
まずは、世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄事情を見ていきます。総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、平均額と中央値は次のとおりになりました。
- 平均額:2414万円
- 中央値:1677万円
平均値と中央値(値を小さい順に並べたときに真ん中にくる数値)に乖離があることから、貯蓄のある世帯とない世帯で二極化があると予想されます。
貯蓄現在高の分布も確認しましょう。
1.1 65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額一覧表(平均・中央値)
- 100万円未満:7.8%
- 100~200万円未満:3.4%
- 200~300万円未満:3.2%
- 300~400万円未満:3.5%
- 400~500万円未満:3.3%
- 500~600万円未満:3.5%
- 600~700万円未満:2.8%
- 700~800万円未満:2.6%
- 800~900万円未満:3.4%
- 900~2000万円未満:2.4%
- 1000~1200万円未満:6.1%
- 1200~1400万円未満:4.4%
- 1400~1600万円未満:3.7%
- 1600~1800万円未満:4.2%
- 1800~2000万円未満:3.2%
- 2000~2500万円未満:8.3%
- 2500~3000万円未満:6.3%
- 3000~4000万円未満:10.0%
- 4000万円以上:17.9%
貯蓄500万円未満が約2割となっており、老後に向けて貯蓄が用意できていない世帯が5世帯に1世帯いることがわかります。
65歳以上の夫婦のうち、無職世帯は平均してどのくらい貯蓄しているのでしょうか。
1.2 65歳以上の無職夫婦世帯の貯蓄事情
無職世帯に限定すると、貯蓄の平均額は2359万円でした。
こちらの項目には中央値の表記がありませんが、平均値が下がったことを考えると、中央値はこれよりも下がる可能性があります。
無職世帯では貯蓄を切り崩して生活していく世帯も多いため、老後の貯蓄事情はさらに厳しくなっていくでしょう。
では、実際にセカンドライフを迎えた無職の夫婦は、年金収入のみで生活できるのでしょうか。
次章では現代シニアの厚生年金・国民年金の平均受給額や、リアルな毎月の家計収支を見ながら老後の生活について考えていきましょう。