2. 公務員の給与と退職金事情
公務員の給与と退職金について、会社員と比較しながらそれぞれ確認します。
2.1 公務員と会社員の給与
人事院が2023年8月に調査した「国家公務員給与の実態」を見ると、国家公務員の平均給与は月額41万2747円となりました。
また、総務省「令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要」によると、地方公務員の平均給与は月額で40万1372円でした。
平均給与でみると、約1万円の差があります。
では、会社員の賃金を見ていきましょう。
厚生労働省が2024年1月24日に発表した「令和5年賃金構造基本統計調査速報」によると、一般労働者の賃金は31万8300円でした。
あくまでも全体平均だけで比べると、公務員の給与が高くなっています。ただし、実際には役職や職種等によっても異なるでしょう。
2.2 公務員と会社員の退職金事情
公務員と会社員の退職金についても比較しましょう。
厚生労働省は、2024年3月1日に「令和5年就労条件総合調査」を公開しました。
会社員で勤続年数35年以上の退職金を、学歴別でそれぞれ確認しましょう。
【企業規模:大学・大学院卒の退職金平均】
- 1000人以上:2242万円
- 300~999人:1742万円
- 100~299人:1543万円
- 30~99人:1785万円
一方、公務員の退職金を国家公務員と地方公務員でそれぞれ確認しましょう。
内閣官房内閣人事局が2023年12月に調査した「退職手当の支給状況」によると、国家公務員が定年退職した場合の退職金は、2112万2000円でした。
勤続年数別に見ると、以下の通りです。
- 勤続年数25年~29年:1663万2000円
- 勤続年数30年~34年:1991万7000円
- 勤続年数35年~39年:2303万8000円
- 勤続年数40年以上:2234万7000円
「令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要」によると、地方公務員の場合は、2123万6000円となっています。
勤続年数によりますが、国家公務員の退職金が高い結果となりました。
3. 公務員になるメリットとデメリット
公務員は安定している職業ですが、デメリットはあるのでしょうか。
公務員のメリットとデメリットについて確認しましょう。
3.1 公務員のメリット
公務員になるメリットは、景気の波に左右されない安定性と福利厚生が充実している点です。
福利厚生でみると、扶養手当に加えて育休も3年取得できる点が手厚いといえます。
また、安定した仕事なのでクレジットカードや住宅ローンの審査にも通りやすいです。
3.2 公務員になる注意点
一方、公務員で注意したいのは、成果を上げても給与が上がりにくい点です。
評価制度を導入しているところは多いものの、基本的には勤続年数によって給与が増える職種なので、20歳代や30歳代が成果を出しても、成果主義の会社員に比べると給与には反映されにくいといえます。
また、副業の制限も厳しいので、会社員ほど副業できる範囲は狭い点も注意が必要です。
今後の働き方改革によって、副業の範囲が広がるのか注目していきましょう。
4. 安定感のある公務員
親が思う子どもに就いてほしい職業は、安定性のある公務員がトップでした。
実際に、会社員と比べると給与や退職金は高い傾向にあります。さらに景気に左右されないので、安定性の高い職業といえるでしょう。
とはいえ、子ども自身が就きたいと思う職業は、必ずしも親の意向と一致しません。
あくまでも選択肢の1つとして、提示するくらいに考えておきましょう。
参考資料
- 日本トレンドリサーチ「子供に将来なってほしい職業」
- 日本トレンドリサーチ
- 青山ラジュボークリニック
- 人事院「国家公務員給与の実態」
- 総務省「令和4年地方公務員給与実態調査結果等の概要」
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
- ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2024」
川辺 拓也