平均年収1200万円の三井物産。創業以来初の連結赤字後に何が変わったのか

就職活動中の学生にとって、商社はあこがれの就職希望先の一つではないでしょうか。その理由としては、海外勤務の機会や高年収といったことがあげられるでしょう。今回は、三井物産の現状を有価証券報告書や中期経営計画などをもとに見ていくことにしましょう。

平均年齢42.4歳で平均年間給与は1200万円超

2017年3月期の有価証券報告書によれば、三井物産単体の従業員数は5971人。従業員の平均年齢は42.4歳で、平均年間給与は1213.5万円と、サラリーマンの夢といってもよい年収1000万円を大きく超えています。

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また、事業分野ごとの従業員数を見ると、最も多いのが「生活産業」の824人。次いで多いのが「機械・インフラ」の791人、「化学品」の598人となっています。

創業以来初の連結赤字となった2016年3月期

2017年5月に三井物産は新中期経営計画を発表しています。同社は2016年3月期に創業以来、初めての連結赤字に陥りました。今回の中期経営計画は、そうした業績面の危機から脱却することを目指した戦略を踏まえたものだといえるでしょう。

ご承知のように、現在の総合商社は「モノを右から左に流す企業」という側面だけではなく、エネルギー領域などでは権益獲得などの「投資家としての顔」がより目立つようになってきています。したがって、キャッシュをいかに寝かさないか、またリターンを高めるかといったアセットアロケーションは企業価値の肝でもあるといえます。

キャッシュ、当期純利益、ROEを極める

同社はそのキャッシュフロー管理を強化し、「キャッシュ創出力」の拡充を図る方向です。そのため、2017年3月期に基礎営業キャッシュフローで5000億円弱であった水準を、2020年3月期には6300億円まで高めることを目指しています。その成長の推進力は「金属資源・エネルギー」セグメントであり、次いで「機械・インフラ」、「化学品」です。

また、同中期経営計画では当期純利益の目標も発表されていますが、2017年3月期で3061億円であった水準を2020年3月期には4400億円にまで拡大しようとしています。ここでの成長ドライバーとなる主なセグメントは、先ほどと同様に「金属資源・エネルギー」、「機械・インフラ」、「化学品」です。

もっとも、2018年3月期の当期純利益については、会社による連結業績予想が現時点で4400億円となっています。したがって、初年度から上記の水準を達成してしまう可能性があります。むしろ今後は、どこまで当期純利益を高められるのかに注目が集まるでしょう。

そして、投資家への最大のメッセージはROEといえるでしょう。もちろん当期純利益は株主への配当や自己株式買入の原資となります。同社は2020年3月期にROE10%を目指すとしていますが、この水準が切り上がってこなければ、現在PBRで1倍を割っている状況は大きく変わっていかないでしょう。

新成長分野への取り組み

ここまで「金属資源・エネルギー」、「機械・インフラ」、「化学品」といった既存事業で収益貢献の大きいセグメントを中心に見てきましたが、今回の中期経営計画では新たな分野への挑戦も掲げられています。

具体的には、「モビリティ」、「ヘルスケア」、「ニュートリション・アグリカルチャー」、「リテール・サービス」といった4つの成長分野を特定し、ダイナミックな経営資源の配分を行うとしています。

そして、ここまで見てきたキャッシュを「金属資源・エネルギー」などの中核分野に65%、成長分野に35%投入するというように、成長分野への資源配分を怠らない姿勢を見せています。

最後に

三井物産に就職を希望する学生の中でも、どの事業に取り組んでみたいかは人それぞれでしょう。もし自分の希望と、会社が中期経営計画で掲げている資源配分の方向性が上手くマッチすれば、面接でも話が弾むのではないでしょうか。

LIMO編集部

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LIMO編集部は、国内外大手証券会社で証券アナリストや運用会社のファンドマネージャーとして長年の調査や運用経験を持つメンバーを中心に構成されています。金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデア、ビジネスパーソンの役に立つ情報ををわかりやすくお届けします。